Papen's Piling

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【考察】『星のカービィ ディスカバリー』初報から見るHAL研の覚悟

 お久しぶりです。最近はまとめる意志が薄れ(このブログ、お金が増えるどころか減りますし)放置となっておりましたが、少しではありますが戻って来たので記事を作っていきます。

今回はNintendo Direct 2021.9.24にて発表された『星のカービィ ディスカバリー』についてです。
www.youtube.com

[2021/09/29]今のハル研について内容を追加しました。

初報で発売時期を出したHAL研

Nintendo Direct 2021.9.24で『星のカービィ ディスカバリー』が発表された際
私が驚いたと同時に感心したのは初報で具体的な発売時期を出したことです。
星のカービィシリーズは『星のカービィ Wii』以降、基本的に直前でなければ発売することを公表しませんでした。『星のカービィ スターアライズ』ではE3に合わせて情報を出しましたが、「2018年」ですので極端な話12月でも問題ありません。
しかしながら今回ハル研は「2022年春」と打ち出したのです。
このことについては下の記事を見ていただいた方がより深く分かると思います(そもそも、今回の記事ができた理由がこの3年前の記事があったから…)。
www.papenspiling.com

Switch以降の任天堂

それ自体は「ハル研頑張ったね」で終わる話です。
この発売時期を出したこと、それがもはや「延期」は難しい可能性があるとなるとどうでしょうか?

Nintendo Switch以降任天堂グループ(ハル研は任天堂グループではないのですが面倒くさいのでそうまとめます)はシリーズものであっても新機軸の導入やアタリマエの見直しなど挑戦的な要素がいくつも見受けられます。
『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』はそのわかりやすい例ですが、

  • 学園生活とその後の戦争を今までにないほど緻密な世界観で描いた『ファイアーエムブレム 風花雪月』
  • 3Dでのポケモン発見からバトルまでをオープンワールドとして描いた『Pokémon LEGENDS アルセウス』
  • 十何年も前から試行錯誤を行った結果を遂に導入した『メトロイド DREAD』

と簡単に例を出すだけでも非常に熱量の感じられる作品が「継続的に」出されています。
任天堂グループはできる限り時期が競合しないよう世に出しているのは皆様もご存じかと思います。

この辺りはWikipediaの「Nintendo Switchのゲームタイトル一覧 - Wikipedia」でみると早いです。
発売元メーカーを任天堂に設定すると発売時期がばらけているのがすぐにわかります。

ここで2022年発売予定のタイトルを見ると

  • 01/28:Pokemon LEGENDS アルセウス
  • 03/04:トライアングルストラテジー
  • 春:星のカービィ ディスカバリー
  • 夏:モンスターハンターライズ:サンブレイク
  • 年内:スプラトゥーン3
  • 年内:ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド続編
  • 年内:ベヨネッタ3

この時点で、夏までSwitchタイトルの話題が欠かないように設計されているのです。
現在の任天堂がはっきりと言っている訳ではないですが、任天堂は無関心と戦い続けていると私は思います。そうでなければ本質的には不要な娯楽は生き残れないからです。自らが出すハード「Nintendo Switch」はゲームぐらいしかできません。一応Youtubeなども使えますがこれをメインに使う方は多くはないと思います。だからこそ、一目見ただけで「こいつは良さそうだ」と思えるような良質なゲームの情報を絶やさず出していくことが重要になります。

とはいえ、実際には時期が競合したり、そもそも話題になり、かつ良質なソフトを作れないという問題があります。そのための開発環境の統合や、関係会社との連絡調整が重要になります。

ここまでああだこうだ言いましたが、実はSwitch時代の任天堂において、「発売時期を公表した後、延期を発表した任天堂グループの作品は非常に少ない」のです。私の知る限りでは『あつまれ どうぶつの森』しかありませんでした。『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』はWiiU時代です。ゲームにクオリティアップのための延期はよくある話で、任天堂のそれは一種の伝説ともなっていますが、実は任天堂は「見える形」での延期はもはや行っておりません。一本のソフトなら関係会社にごめんなさいすればいいですが、このような連携が取れなくなってしまうからでしょう。

良質なゲームの話題を常に出し続けるため連携を密にとる任天堂グループ。そこにハル研の『星のカービィ』は入り、2022年の春に出すとNintendo Directで発表したのです。

この恐ろしさ、分かっていただけたでしょうか?

もはや延期は許されない選択肢とも言えますが、それでもハル研はここに加わったのです。私はその覚悟に敬意を表しますし、健闘を祈っております。
ただ、悲観的には考えておらず、今のハル研ならできると思っています。

今のハル研ならできると思う訳[2021/09/29追加]

ではなぜ私が今のハル研ならできると思ったのか。それはこの人員から考えています。

「富士山が見えるスタジオで新しいカービィを作りませんか?」という売り文句で募集が有名にはなりましたが、2019年から2021年の間にハル研は従業員数を36名増やしたのです。その影響で社員の平均年齢も0.3歳下がっています。私の計算が間違えていなければ新たに加わった社員の平均年齢は35.89歳ですので即戦力が採用されたと考えられます。募集ページは削除されていますので代わりにインサイドから引っ張りました。
www.inside-games.jp

元々カービィはモデル自体は3Dでしたが、カメラが動くなると作りこむ量が大幅に増加します。3Dにした結果世界が貧相になるというのはよくある話ですが、それを回避しようと全力で挑んでいるのが分かります。初報の動画も高い再生数と同時に高評価となっているのはそういった努力が評価されたからだと考えています。その努力が今の時点で見えるならば「大丈夫!」と私は強く言えるのです。

はるかぜとともに、新たな旅に出たカービィと色々な発見を楽しみたいですね。