前回のモノリスソフトの記事は多くの人に見て頂き、この会社が非常に注目されている存在だと改めて感じました。今回もやはりモノリスソフト関連ですが、2017年03月03日に発売された『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』(以下、ブレワイ)と同年07月21日に発売された『スプラトゥーン2』(以下、スプラ2)からモノリスソフト社員を抽出し
- 2タイトルにモノリスソフト社員が何人関わっているのか
- 関わっているのは主にどの分野か
の2点を見ていきたいと思います。ですので前回はモノリスソフトがメイン、今回はサブと、会社の立ち位置に違いがあります。
dougin-1809.hatenablog.jp
任天堂社員を知る方法
さて、モノリスソフト社員を抽出するには任天堂社員を知る必要があります。彼らを知らなければ区別ができないからです。幸い任天堂に関しては豊富なデータベースが存在し、私はKyoto Reportを参考にしています。*1
Kyoto Report - Kyoto Report
このサイトはwiki形式でパブリックフォーラムを駆使しながら、作品、個人、会社の3つの視点から任天堂とその子会社の社員を明らかにしています。2018年現在はモノリスソフト社員についての情報は殆どありません*2が、任天堂社員については非常に詳しいためここでページが作られていない社員をモノリスソフト社員と仮定した上で細部を検証すれば、ある程度区別が可能になります。
結果「ブレスオブザワイルド」
まずは『ブレワイ』からです。いくつか注意事項がありますので先に読んでから見て下さい。
- アルファベット2ケタは作品ごとに設定された担当、数字3ケタは順番を指していますが、『ゼノブレ』と『ゼノクロ』はリードを1人と仮定して算出しています。
- 高野 絵美氏は『ゼノブレ2』でQREAZY所属となっているためそうなっていますが、『ゼノブレ』では特に所属が書かれていなかったため元モノリス社員でしょう。
- レベルデザイン Peopleは訳せなかったのでそのままです。訳は作品ごとに考えているため禄に統一出来ていません。
- 『ブレワイ』に「モノリス?」の人がいますがこれは自信が無かったからです。
合計64名がゲームデザイン、ストラクチャー、ダンジョン、アニメーション、キャラクター等主にプランニングとデザインに関わっていることが分かります。『ブレワイ』のゲームデザインは全員で24名ですがその内半分がモノリスソフト社員というのは特筆に値します*3。そもそも2017年時点で任天堂内でオープンワールドゲームを作れたのは任天堂を含めてもモノリスだけですので彼らが開発体制に組み込まれるのは当然でしょう。
結果「Splatoon2」
最後に『スプラ2』です。こちらは控えめです。
合計16名が「アート」に関わってますが、ここは2016年09月30日に投稿されたCGWorldのインタビュー記事が参考になります。
スタッフインタビュー01:宇野香名子
(中略)
もっとも、グラフィック専業の部門として、最初は限定された範囲の仕事しかできないのではないかと、不安もありました。しかし、ステージが完全にモックの状態、ランドマークや植物なども四角いボックスで置かれているだけで、自由にデザインしていけるとわかり、不安が払拭されました。ゲーム開発の後半になっても、アイデアをどんどん出していけるんです。
(中略)
スタッフインタビュー02:廣江俊行氏
(中略)
弊社の良いところはステージやマップを初期段階からデザインできること。『Splatoon』ではステージのテーマが決まっているだけで、モックの状態から自由にアイデアを出してきました。アイデアはすぐに実装されて、何度もテストプレイを繰り返して、細部まで作り込んでいったんです。
出典:https://cgworld.jp/interview/monolithsoft-201609.html2018年05月08日閲覧
お二方とも例に出されているのは2015年05月28日に発売された『Splatoon』ですが、『ブレワイ』における彼らの担当がランドスケープ、ダンジョンのデザインだったことから『スプラ2』でもステージのデザインに関わったと言えるでしょう。
モノリスソフトは…
『ブレワイ』と『スプラ2』におけるモノリスソフトの関わりを見てきましたが、基本的に彼らが関わるのはデザインです。それも依頼されたものをこなすのではなくデザイン提案やルックデベロップメント*4も含めた、ゲームのコアにまで入った任天堂との共同作業と言えそうです。これがモノリスソフトの部分委託の実態です。
*1:ただし漢字にについては結構ルーズです。
*2:元の情報が無いため当然ですが
*3:内3名がモノリス所属か不明ですが、モノリス所属の社員に挟まれているため恐らく彼らも所属していると思います。とはいえ自信がありませんのでここではクエスチョンマークを付けています
*4:CGWorld曰く「ルックデブ(look dev)と略すことが多い。文字通り、3DCGモデルの見た目(ルック)を決める工程のこと。モデルにシェーダやテクスチャを適用し、パラメータやノードを調整しながら質感を詰めていく。シェーダ開発を含む場合もある。日本のCGプロダクションでは、この工程をモデラーが兼任する場合も多い。」とのことです。