タイトル通りの記事です。『Pokémon LEGENDS アルセウス』(以下、『アルセウス』と呼称)にモノリスソフトが関わっているだとか何とかの噂が絶えませんが、画像の通りです。
「『アルセウス』のスタッフリストにモノリスソフトが載っていない」で終わりなのですが、わざわざ"モノリスソフト"を強調させ、"全くいない"と形容しなかったのには理由があります。そんな訳で続きがありますので、気になる方はどうぞ。
単純な比較では結構いるように見えるが…
『ゼノブレイド2』(以下、『ゼノブレ2』と呼称)や、モノリスソフトが部分受託を行った『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』(以下、『BotW』と呼称)、『Splatoon 2』を『アルセウス』と比較すると両作品に関わっている方はいます。
「『ゼノブレ2』とかはモノリスソフトが作ったんでしょ。だったら『アルセウス』にも関わってるじゃん。」と思われるでしょう。
しかし、これが落とし穴です。
『ゼノブレ2』のスタッフリストはあの感動的なエンディングと共に流れるので、覚えていない方もいらっしゃるかも知れませんが、モノリスソフトはとても親切なことに協力会社ごとにスタッフリストを作っているのです。
前、モノリスソフトの開発体制について記事を投稿しましたが、ゼノブレイドシリーズは他社との密接な連携・協力の上で成り立っております。まだ読まれていない方は後でごゆっくりどうぞ。
www.papenspiling.com
そのため、ただスタッフリストと照らし合わせるだけでは不十分で、共通して載っている方が本当にモノリスソフト社員なのか調べなければならないのです。
調べると…
では調べてみましょう。
名前 | 共通作品 | 所属は? |
Shuhei Furukawa | Xenoblade2 | 任天堂 |
Kyohei Minato | Xenoblade2 | 任天堂 |
Hiroaki Gohara | Xenoblade2 | 任天堂 |
Takeshi Sakamoto | Xenoblade2 | イマジカデジタルスケープ |
Shihomi Yamamoto | Xenoblade2 | イマジカデジタルスケープ |
Motohiro Sasaki | Xenoblade2 | SEVEN DREAMS |
Keisuke Asaba | Xenoblade2 | SEVEN DREAMS |
Noriko Uono | Breath of the Wild | モノリスソフト |
---|---|---|
Kanako Ishibashi | Breath of the Wild | 不明 |
Tomokazu Yoshida | Breath of the Wild | 任天堂? |
Ai Matsumura | Breath of the Wild | イマジカデジタルスケープ |
Asuka Yamato | Breath of the Wild | 不明 |
Yuki Takahashi | Breath of the Wild | イマジカデジタルスケープ |
Hitomi Sato | Breath of the Wild | トゥエンティイレブン |
Hideki Sato | Breath of the Wild | イマジカデジタルスケープ |
Splatoon2がないのは、『ゼノブレイドクロス』と『BotW』にまとめられたからです。
Shuhei Furukawa氏からHiroaki Gohara氏までは『ゼノブレ2』でプログラム技術協力で載っていますが、これは任天堂社員と判断できます。モノリスソフト社員が担当する所でない、他の任天堂開発作品にも関与されている方が多いからです。それ以外の会社は『ゼノブレ2』で協力会社として登場しております。という訳で、モノリスソフト社員と判断できる方は、Noriko Uono氏のみでした。漢字では「魚野 紀子」氏です。
魚野氏はモノリスソフト京都スタジオ立ち上げ時に中途採用で入り、以降ポケモンカードゲームのイラストや、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』でダンジョンデザイン、『ゼノブレイドクロス』でアイコンデザイン、『Splatoon』シリーズでアート、『BotW』でランドスケープアートを、そして『ポケットモンスター ソード・シールド』と『アルセウス』で3Dマップグラフィックを担当されました。
インタビュー記事も見つかりました。→(1/3、2/3、3/3)
スタッフの並び順として、『ポケットモンスター ソード・シールド』では上から2番目(先頭はリードの井部 真那氏なので実質先頭)に、『アルセウス』でもリードの栃木 遥氏の次に載っているため、制作に相当の貢献をされたと推測できます。
(開発後半から少しだけ入った人を最初に載せます?五十音順でない場合はそう解釈するのが適当です)
任天堂グループの急速な再編・統合
まとめるとこうなりました。
- 『アルセウス』でモノリスソフトは企業としてはカウントされていない。
- しかし、モノリスソフト京都スタジオ所属と思われる社員一名がマップデザインに大きく関与。
調べてみれば、なかなか面白い結論に到達しました。それと同時に世間のモノリスソフトへの期待が強すぎるとも思いました。
『BotW』の大本は任天堂で、『アルセウス』ならゲームフリーク、『ゼノブレイドクロス』『ゼノブレイド2』はモノリスソフト。
ただそれだけでいいはずなんですけどね。
ゲームフリークは『剣盾』の時点で400人規模の開発体制を構築しております。ここにはポケモンでは言われがちなローカライズの人材は入っていません。現場でプログラムやアート、ゲームデザインに力を注ぐ方のみで400名もいるのです。加えて40社程度の企業も関与しておりますので、実態はもっと大規模です。ゲームフリークはそれほどのプロジェクトを動かせる実力があるのです。
そして2月15日に、ポケットモンスターシリーズ本編の開発を担うゲームフリークの開発体制がどうなっているのか、『X・Y』から『アルセウス』に至るまでの記事を投稿します。今回の記事は、いわば序章であり、本章は次回となります。
昨今では、買収だ、クラウドだなんだのゲーム業界では騒がれております。それらも大事ですし追ってはいますが、そもそもゲームを作るのは人です。ゲーム業界の一翼を担う任天堂グループは静かに、しかし猛スピードで大規模開発へ対応した体制を構築していることは見ておくべきでしょう。
それを知る手がかりはリークでもなければ、関係者の発言でもありません。スタッフリストにあるのです。