2020年に発売された『ゼノブレイド Definitive Edition』のスタッフリストを見ていきます。『ゼノブレイド3』がmoby gamesでまとめられる前にゼノブレイドシリーズがどうだったか復習しておきたいため作成しました。
<忙しい人向けまとめ>
- ゲームデザイン、プログラミング、アート合計で145名。『ゼノブレイド』シリーズでは過去最少の規模。
- ゲームデザインは10名中『ゼノブレイドクロス』経験者が4名、過去作不明の方が3名。
- プログラミングは18名中『ゼノブレイドクロス』経験者が9名、過去作不明の方が3名。
- アートは全体で117名。Graphics、Graphics Support、Cutscenes、Motion Captureの4セクション。
- Graphicsは41名中『ゼノブレイド2』経験者が25名、過去作不明の方が3名。
- Graphics Supportは26名中、『ゼノブレイド2』経験者が10名。
- Cutscenesは42名中、『ゼノブレイド2』経験者が20名。『ゼノブレイド』経験者も13名いる。
- Motion Captureは9名中、『黄金の国イーラ』経験者が5名
今回見ていくもの
今回はゲームデザイン、プログラミング、アートの3セクションを見ていきます。具体的には以下の要素を見ていきます。
- 規模
- 『ゼノブレイドDE』以前の過去作が不明の方の数
- スタッフが開発に参加した過去作
- 過去作に参加した際の役職の数
- そのほか気になったこと
規模は『ゼノブレイド2』『ゼノブレイドクロス』『ゼノブレイド』と比較します。
全体の規模
moby gamesのカウントでは演奏者などもカウントされるため実態より多くカウントされがちです。それはともかく、『ゼノブレイドDE』の規模はゼノブレイドシリーズ全体で見ても過去最少の規模です。
ゲームデザイン
今作は10名おります。これまでが22~43名の規模でしたので、過去作の0.2~0.5倍です。
その陣容の中、『ゼノブレイドDE』以前の作品が分からない方が〇名中3名、全体の〇%を占めます。
過去作で最も多かったのは、『ゼノブレイドクロス』の4名です。
役割別でみますと、カウントが1にしかなりませんでした。様々なポストから来ていると言えます。拡張コンテンツ「つながる未来」を考慮しても元々のゲームデザインは完成されていますから陣容が小さいのは納得です。
プログラミング
今作は18名おります。これまでが10~42名の規模でしたので、過去作の0.4~1.8倍です。
その陣容の中、『ゼノブレイドDE』以前の作品が分からない方が18名中3名、全体の17%を占めます。
過去作で最も多かったのは、『ゼノブレイドクロス』の9名です。全員Lead Programmingで参加されていました。
他にもあがる作品が『ゼノブレイド2』に8名、『ゼノブレイド2 黄金の国イーラ』に7名です。モノリスソフトの社員が殆どということが分かります。2008年発売の『DISASTER DAY OF CRISIS』では4名、2006年発売の『ゼノサーガ エピソードIII[ツァラトゥストラはかく語りき]』で3名ですから2010年以降に入社した人が多いと言えます。
アート
今作は117名おります。これまでが191~481名の規模でしたので、過去作の0.2~0.6倍です。
セクションで中身が異なりますので、Graphics、Graphics Support、Cutscenes、Motion Captureで分けています。
アート-Graphics
41名おります。その陣容の中、『ゼノブレイドDE』以前の作品が分からない方が41名中3名、全体の7%を占めます。
過去作で最も多かったのは、『ゼノブレイド2』の25名です。役割別でみていきますと、最も多かったのは『黄金の国イーラ』のCharacter Modeling、6名です。
40名程の規模で半数は過去作経験者と言うのは、傍から見ると「安定している」とも評せます。
『ゼノブレイド2』に限ってみるとArtworkやCharacter Modelingなどそれぞれの担当から少なくない人が参加していることが分かります。興味深いのはNEURON-AGE CO., LTDやAnimo Creative Works LTDなど協力会社に在籍されていた方が、このような協力会社が表記されないポストに就いている点です。
アート-Graphics Support
麦谷 興一(Choco)氏、稲葉 航氏の両名以外は他社で構成されています。
その陣容の中、『ゼノブレイドDE』以前の作品が分からない方が26名中3名、全体の12%を占めます。
過去作で最も多かったのは、『ゼノブレイド2』の10名です。
具体的にはAnimo Creative Works LTD、AVANT Inc.から3名、それ以外から4名という形です。協力会社がシリーズに継続して関わるという例はモノリスソフト作品ですとよく見かけます。特に問題ないならまた一緒に仕事をすることは別におかしくありませんし。
アート-Cutscenes
表記なしの11名含めて計42名で構成されています。グラフィニカが多いのは言うまでもありませんが、D.A.GのようにGraphics SupportとCutscenesどちらにも入るケースもあります。
その陣容の中、『ゼノブレイドDE』以前の作品が分からない方が42名中6名、全体の14%を占めます。
過去作で最も多かったのは、『ゼノブレイド2』の20名です。なお次点が『ゼノブレイド』の13名です。なかには『ゼノブレイド』、『ゼノブレイドDE』の2つのみ参加作品が判明してるアーティストの方もいらっしゃいました。
役割別でみていきますと、最も多かったのは『ゼノブレイド2』Cutscene Production、7名です。
アート-Motion Capture
その陣容の中、『ゼノブレイドDE』以前の作品が分からない方が9名中2名、全体の22%を占めます。
過去作で最も多かったのは、『黄金の国イーラ』の5名です。ほとんどモーションアクターですので作品だけ見ていきます。
実質7名の履歴でも多様ですね。
『ゼノブレイド』を作り続ける体制
まとめです。
- ゲームデザイン、プログラミング、アート合計で145名。『ゼノブレイド』シリーズでは過去最少の規模。
- ゲームデザインは10名中『ゼノブレイドクロス』経験者が4名、過去作不明の方が3名。
- プログラミングは18名中『ゼノブレイドクロス』経験者が9名、過去作不明の方が3名。
- アートは全体で117名。Graphics、Graphics Support、Cutscenes、Motion Captureの4セクション。
- Graphicsは41名中『ゼノブレイド2』経験者が25名、過去作不明の方が3名。
- Graphics Supportは26名中、『ゼノブレイド2』経験者が10名。
- Cutscenesは42名中、『ゼノブレイド2』経験者が20名。『ゼノブレイド』経験者も13名いる。
- Motion Captureは9名中、『黄金の国イーラ』経験者が5名
ゼノブレイドシリーズでは過去最少の規模で制作された『ゼノブレイドDE』は制作陣を見ても半数は経験者でした。それもどこかのセクションに偏在している訳ではなく、ゲームデザイン、プログラミング、アートと全てに満遍なくおりました。
経験者という話では、Cutscenesに『ゼノブレイド』と『ゼノブレイドDE』のみ履歴が残っている方がいるのも特徴的です。10年間の"空白"は実際には他の業務で埋められているのでしょうが、『ゼノブレイド』シリーズや他のゲームにも関わらず、10年前に関わった作品のリメイクとして呼ばれたのであればなかなか面白い話です。
また、モノリスソフトが任天堂に入って以降、『ゼノブレイド』シリーズはモノリスソフトの大黒柱です。2010年代に入ってくるプログラマーもゼノブレイドシリーズの経験はある、協力会社のメンバーも同じようにと制作陣にゼノブレイドの経験が共有されているのが分かります。そのような前提条件の中、ゼノブレイドシリーズの今後がどうなっていくのか、気になります。
これだけ大きくなった制作陣を縮小、解散させるのは投資がムダになりますからゼノブレイド以外の作品も同じように大きなものとなるでしょう。ただ、作品が大規模になればなるほどゲームデザイナーが能力を発揮できる機会が減りますから特化させればいいという話でもありません。
ひと段落した中、モノリスソフトが次にどのような選択肢を取るのか。長い間続報がない3Dアクション新作はいずれ出るでしょうが、その次はどうするのか。注意深く追っていきたいです。
今後ですが、moby gamesで『ゼノブレイド3』の集計が完了するまでは、大ボスともいえる任天堂のSwitchタイトルの制作体制をまとめていきます。