『星のカービィ ディスカバリー』の考察をしていたのですが、一つなんか面白いことを思い浮かんだので文章にしました。
自然と文明が融合した「新世界」
ポストアポカリプスというジャンルがあります。
文明が崩壊した後の世界、というのは分かりやすい核戦争という概念が登場してからよくみる話となったと思います(アポカリプスは宗教的な黙示録なのですが、不思議ですね)。
WastelandsやFalloutなどポストアポカリプスの金字塔はどれもこれも「核」と繋がります。
そして、ゲーム制作においてこのポストアポカリプスは大変重宝されます。「確固とした文明を出すことへの表現のコスト」(人物や建造物のモデリングで一体どれだけのものが必要でしょうか)を考慮しながらも世界観を広げるならば、使い勝手がいいものです。
まぁ、そんなせいかポストアポカリプスゲームが溢れており、私はSteamでゲームを探すとき「またポストアポカリプスかぁ」となっており、食傷気味です。
さて、このポストアポカリプスには暗黙のルールがあります。
それは「人類、あるいは人類のように科学が基本の文明がモデル」という前提です。
例えば『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』も崩壊した後の世界を冒険しますが、崩壊対象が「ハイラル」です。人類とは異なる世界ですのでポストアポカリプスと私は考えていません。『星のカービィ ディスカバリー』は初報から崩壊した文明が映し出されておりポストアポカリプスの面を持っています。そこから私も「カービィもポストアポカリプスかぁ」と思いました。まぁ、タチカビから始まる熊崎信也時代から考察する要素を散りばめるようになりましたし、遺されたモノや文書から何かを読み解くポストアポカリプスとの触れ合い方に当てはまります。
そんな事前の予想を破壊した情報があります。
それが「エフィリン」です。
「エフィリン」から浮上した疑問にハイネスのアレをぶつける
エフィリンは『ディスカバリー』におけるキーキャラクターです。
彼と共に冒険することになるのですが、彼の英名は「Elfilin」です。
名前の組み立て方を「Elf+ilin」と仮定しましょう。
そうすると「Elf」の単語が出てくるのです。日本語ならばご存知「エルフ」です。
去勢を連想させる欠けた耳、動物というには変な(新世界側の敵って現実的な色が多いんですよね)スカイブルーの毛という特徴は実験動物というモチーフで分かりやすいのですが、なぜかここでエルフと絡むのです。
科学的と思われた文明でなぜエルフの名前を出すのか?エルフが科学的な文明をモチーフとしたゲームに出演するのは珍しいことです。もしかしたらあるのかも知れませんが、私はパッと思い浮かびませんでした。(スチームパンクぐらいならばWarhammerシリーズであります)
エルフという名前が潜む、エフィリン。彼を見ていくと一つ考えられることがあるのです。
先ほど、「人類、あるいは人類のように科学が基本の文明がモデル」と出しましたが、エルフというファンタジーの概念を持ち込んできたと言うことは、モデルはハイラルのように異世界とも言えます。
そうであれば、「文明と自然が融合した未知なる新世界」は、連想しやすい「科学文明が朽ちて自然と合体したもの」ではなく「科学と自然が同じ軸に成り立つ文明が朽ちた状態」とも考えられないでしょうか?
で、ここで『星のカービィ スターアライズ』のハイネスの無茶苦茶な叫びを載せます。
(原文は読ませる気がないものですので、よくある漢字補正の奴です)
銀河の果てに追いやられた魔力を司る我ら一族の悲願!
お前なぞにこの積年の思いの尊さが分かるのか?
いや分かるはずがない断じてないないないない!
かつて友であった奴らは我ら一族の力に恐れたのか、一族を皆ことごとく封印し銀河の果てへと追いやった!
それでも飽き足らずこの歴史からその存在さえ一片も残さず消し去ろうとしたぁ!
我らの魔力があってこそ、奴らの科学と融和する事で成し得た偉大な繁栄!
銀河の危機とも呼べるあのおぞましい悪夢を退けた我々に対しあまりの仕打ち!
これは誤解などでは決してないない!
我を狂っている等と言った奴らよ聞こえているか!
銀河の最果てへと我らを置き去りにして旅立ち今もおそらく何処かでのんきに暮らしておるお前らに最早未来などない
闇の物質を祀る我が一族の復権は近い
皆が偽りと決め付けおった伝説の書の通りに遂に我らは神のおられる器を手に入れたのだ
目覚めさせし者に染まり慈悲を下さるというその神の器は今満たされつつある
遂に偉大なる神が誕生する時が来たのだあ
誕生するぞう誕生するぞう誕生するぞお〜
はっぴぃーばーすで〜い! 新たなる歴史よぉ時代よぉ〜! はっぴぃーばーすで〜い
偉大なる、神よおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!
この長文、御なじみハルカンドラと合体した考察が殆どでした。
しかし『ディスカバリー』でハルカンドラと異なる文明が登場しました。
- 曰く、自分たちの魔力と、彼らの科学が組み合わせることで偉大な繫栄を成し遂げたと。
- 曰く、銀河の最果てへと自分らを置き去りにして旅立った彼らは何処かでのんきに暮らしていると。
今回の舞台はしつこいですが「文明と自然が融合した未知なる新世界」です。魔力とは言ってませんが、魔力は自然モチーフとされることが多いです。氷炎雷の属性魔法なんて最たる例ですね。
そしてハイネスも知らないどこかへ旅立った彼らがいる星が、はるかぜの旅人たるカービィにとっても初の星だったとしたら?
…
…
…
…
まぁ、そんな分かりやすい関連持たせるとは思ってないんですけどね。
ただ、既存のカービィの世界の解釈を崩しかねなかったハルカンドラに深みを持たせるよりかは、この崩壊した謎の文明が役目を負った方がいいでしょう。そっちの方が自由にできますからね。
ちなみに「エフィリズム」と結びつける考察もありますが、あのような取扱注意の思想をモチーフにするのはCERO:Zのゲームですら賛否を呼ぶと思います。反出生主義と中身自体はほとんど同じのこの思想(とか言ったら、その手の方に怒られるのでしょうね)をモチーフと言えど導入するのはいくら何でも危険です。
ダークな要素だって限度がありますよ。