
今回は『ドンキーコング バナンザ』(以下、バナンザ)のスタッフを見ていきます。
バナンザは7月17日に発売されたタイトルで、大規模な破壊表現とドンキーコングならではの豪快でワイルドなパワー感が強く印象に残る作品です(私はうっかり先にスタッフリストを見てしまい、少し後悔しました)。
任天堂企画制作本部第8プロダクショングループ(いわゆる東京制作)の久しぶりの新作でもあります。
2017年10月27日に発売された『スーパーマリオ オデッセイ』(以下、オデッセイ)との関連性については既に知られておりますし、「開発者に訊きました」も公開されていますが、今回はスタッフリストの観点からもう少し踏み込んで見ていきます。
Xではスタッフ数のポストを一度投稿しましたが、それで止まっていたので、改めて記事としてまとめ直しました。
本記事についての注意事項
先に3点だけお伝えしておきます。
- 筆者は既プレイですが、制作体制・スタッフ構成の観点を中心に見ていきます。
- スタッフ数・担当の分類は可能な限り精査していますが、人数の数え間違いや担当の解釈ミスはどうしても起こり得ます(実際、初回集計時には数え間違えがあり、再集計しています)。
忙しい人向けのまとめ
- オデッセイと比べると、ゲームデザイナーが+10名、プログラミングが+12名、アートが+75名。
- オデッセイ経験者の参加率は、ゲームデザイナー31%、プログラミング41%、アート27%。
- どの分野でもオデッセイ経験者が肝心な部分を押さえている。
- 従来のQA(品質保証)やローカライズQAに加え、ゲームデザイン・プログラミングの傘下にもQA担当を配置しており、ゲームだけ見ても「3重のQA網」が存在する構造。
- レベルデザインには、『FF15』のバディシステム開発にも貢献したパサートウィットヤーカーン・パサート(“サン”)氏が参加。
- アートは多くのリーダーがオデッセイ経験者だが、NPCアニメーションとエネミーアートは任天堂外スタイルの強い人材がリーダー。バナンザのキャラクター像を「マリオの文法」から外すため、意図的にアサインした可能性も考えられる。
- 本記事についての注意事項
- 忙しい人向けのまとめ
- 人数と規模(オデッセイと比べると多いが、「巨大」というほどではない)
- 各部門の傾向を見る
- 豪快なステージ破壊アクションをどうやって成り立たせたか
- おわりに
人数と規模(オデッセイと比べると多いが、「巨大」というほどではない)
バナンザは、ゲームデザイナー/プログラマー/アーティストのみをカウントすると、
合計 230名(29 + 53 + 148)
となります。
ここでの人数カウントの基準は以下の通りです。
- 同じ分野内での掛け持ちは1名としてカウント
(例:ゲームデザイン内で「レベルデザイン」と「スクリプト」を兼任していても1名) - 異なる分野間での掛け持ちは分野ごとにカウント
(例:ゲームデザインでレベルデザイン、プログラミングでUIプログラムなら2名ぶん)
なお、Xに投稿した際の集計では、プログラミング人数が今回より少ない値になっていました。
Debug Support や Optimization Support を外していた可能性が高く、そちらは誤った値になります。
参考ポスト:
https://x.com/Papen_WaC/status/1946163749372801363?s=20
比較対象として、オデッセイは 133名(19 + 41 + 73) でした。
単純な差分は以下の通りです。
| 部門 | バナンザ | オデッセイ | 増減 |
|---|---|---|---|
| ゲームデザイン | 29 | 19 | +10 |
| プログラミング | 53 | 41 | +12 |
| アート | 148 | 73 | +75 |
ゲームデザインとプログラミングはギリギリ2桁増、アートはほぼ倍増という構図で、これは『マリオカート8 デラックス』から『マリオカートワールド』への発展ともよく似た傾向です。
このブログでは最近『カービィのエアライダー』や『メトロイドプライム4 ビヨンド』を取り上げましたが、それらと比べると、バナンザの規模は「大きいが、飛び抜けて巨大とまではいかない」程度に見えます。
各部門の傾向を見る
基本的にはオデッセイとの比較を軸にしつつ、他に特筆すべき作品に参加しているスタッフがいれば、そちらもあわせて触れていきます。
ゲームデザイナー(29名)
ゲームデザイナーは29名で、そのうちオデッセイ経験者は9名(31.0%)です。
担当としては、以下のようなラベルで出ています(1人が複数担当に名を連ねている場合あり)。
- Donkey Kong Bananza Bunch_Producer
- Donkey Kong Bananza Bunch_Senior Director
- Donkey Kong Bananza Bunch_Director
- Donkey Kong Bananza Bunch_Planning Director
- Donkey Kong Bananza Bunch_Interim Director
- Donkey Kong Bananza Bunch_Level Design Lead
- Planning_Level Design Lead
- Planning_Level Design Sub Lead
- Planning_Level Design
- Planning_Level Design Support
- Planning_Planning Assistant
- Planning_Quality Assurance
- Planning_Planner Management
ここでは、オデッセイ経験者の個別深掘りは最小限にし、特徴的な部分のみ拾います。
Donkey Kong Bananza Bunch
プロデューサー/ディレクター/レベルデザインリーダーなど
このあたりは「開発者に訊きました」でかなり語られていますので、本記事ではインタビューに出ていない部分を中心にします。
- Yusaku Yamanaka
プロペ開発『すれちがい迷宮』でゲームデザイン&ディレクターを務めた人物。
オデッセイではスペシャルサンクス表記でしたが、元々しっかりした実績があり、バナンザでは Interim Director(暫定ディレクター)兼 レベルデザインリーダー を務めています。
バナンザでは、この「暫定ディレクター」という表記がプランニングだけでなくアートでも登場します。
開発期間の長期化による措置なのか、あるタイミングでディレクター交代があったのか、詳細は分かりませんが、任天堂作品ではあまり見ないタイプのポストです。
プランニング(25名)
ここでは、オデッセイ経験者がいないポストを中心に見ていきます。
Level Design
不明な方も多いものの、経歴がはっきりしている人だけ見てもなかなか濃いメンバーです。
- Yoshihito Hirao:『Dissidia Final Fantasy NT』でゲームデザイナー。
- Shiori Watanabe:『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』でランドスケープモデリング担当。
- Ryuta Chiba:『モンスターハンターストーリーズ』でゲームデザイナー。
- パサートウィットヤーカーン・パサート(Prasert Prasertvithyakarn):『Final Fantasy XV』でバディシステム&AI開発に携わった人物。本人は“サン”と呼ばれることを希望しており、インタビューではその名前で登場していますが、バナンザのスタッフ表記には出てきません。
“サン”氏はFF15関連のインタビューでよく知られており、仲間システム/写真システム/AI全般を担当し、「キャラクターエクスペリエンス(CX)」という概念を提唱していました。
キャラクターへの感情移入や一体感を重視する立場から、バナンザでレベルデザインに入っているのは、知っていてもやはり驚きがあります。
参考:FF15関連インタビュー
game.watch.impress.co.jp
Planning Assistant
- Ko Yamamoto:『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』で開発サポート、『マリオカートワールド』でプランニング担当。
Planning_Quality Assurance
- Ryotaro Hayashi:マリオクラブ所属とみられる。『カービィのエアライダー』でゲームプレイキャプチャを担当。他にもIS系タイトルやスマブラのQA経験あり。
- Toshihiko Shomura:不明。
- Hayato Ono:『エブリバディ 1-2-Switch!』などでQAリーダー。
- Jun Ito:デジタルハーツ所属とみられ、最新では『ポケモンレジェンズ Z-A』でデバッグ担当。
- Takeshi Oka:同じくデジタルハーツ所属とみられ、『ポケモンレジェンズ Z-A』でデバッグ担当。
- Takuya Kakizawa:デジタルハーツ所属とみられ、『真・女神転生Ⅴ Vengeance』などでQA担当。
任天堂タイトルのQAは、通常は
- スタッフロール後半に「品質保証」としてまとめて出る
- ローカライズの一部として出る
この2パターンが多いのですが、バナンザでは従来のQAに加え、「プランニング傘下にQuality Assuranceが存在する」のが特徴です。
中身を見れば、マリオクラブやデジタルハーツのメンバーが多く、顔ぶれ自体は「いつものQA」に近いのですが、ステージ破壊を前提としたボクセル表現のレベルデザインでは、想定すべきバグ・破綻パターンが桁違いに増えると考えられます。
そのため、レベルデザイン/ゲームデザイン担当のすぐ隣にQAを張り付けたのではないか、とも読めます。
プログラマー(53名)
プログラマーは53名で、そのうちオデッセイ経験者は22名(41.5%)です。
担当がかなり多いため、
- オデッセイ経験者のみで構成される担当
- オデッセイ経験者と非経験者が混在する担当
- オデッセイ非経験者のみで構成される担当
の3つに分けて見ます。
1:オデッセイ経験者のみで構成される担当
- Donkey Kong Bananza Bunch_Program Director
- Programming_Program Sub Director
- Programming_Player Program
- Programming_Game Program
- Programming_Backend Program Lead
- Programming_Lighting Program
- Programming_Technical Program Lead / Voxel Program
- Programming_Sculpting Mode Lead / Sequence Program
- Programming_VFX Program
- Programming_Physics Program
- Programming_Sound Program Lead
- Programming_Technical Art Program Lead
- Programming_VFX Support Program
- Programming_Soft Check Management
- Programming_Research & Development / Machine Learning
- Programming_Technical Management
2:オデッセイ経験者と非経験者が混在する担当
- Programming_Object Program
- Programming_Level Design Support Program
- Programming_Soft Check
- Programming_Supervisor
3:オデッセイ非経験者のみで構成される担当
- Programming_Graphics Program Lead
- Programming_Graphics Program
- Programming_Backend Program
- Programming_Sculpting Mode Program
- Programming_NPC Program
- Programming_Camera Program
- Programming_UI Program
- Programming_Procedural Object Program
- Programming_Demo Program
- Programming_Debug Support
- Programming_Sound Program
- Programming_Quality Assurance Program
- Programming_Quality Assurance Support
- Programming_Partnership Coordinator
- Programming_Optimization Support
- Programming_Backend Tool Program
- Programming_Soft Check Lead
こうして見ると、
「キャラクター操作・ゲームロジック・物理・ボクセル」といったゲームプレイの根幹部分は、ほとんどオデッセイ経験者で固められている
ことが分かります。(カメラは非経験者ですが、こちらは後述します)
個別に気になる人たち
ここも、情報のある方だけピックアップします。
- Kotaro Yoshida(Graphics Program):『マリオゴルフ スーパーラッシュ』参加。
- Yuta Yamashita(Object Program):『引ク押ス ワールド』でテスト → 『進め!キノピオ隊長』開発参加 → 『オデッセイ』ではネットワークプログラム、という変わり種の経歴。『Drag x Drive』ではフィールドコリジョン担当。
- Atsushi Ueno(NPC Program):『リングフィットアドベンチャー』の環境&ツールプログラム担当。
- Keiichiro Terao(Camera Program):『スーパーマリオ 3Dワールド + フューリーワールド』ではスペシャルサンクス表記。
- Yuichiro Bito(Demo Program):『スプラトゥーン3』プログラマー。
- Taiki Asamizu(Sound Program):『3Dワールド+フューリーワールド』参加。
- Yuto Kobayashi(Quality Assurance Program):『マリオカートワールド』でプログラミング担当。
- Yoshiki Kawanishi(Quality Assurance Support):『マリオカートワールド』でテクニカルサポート担当。
Partnership Coordinator ~ Backend Tool Program まわり
Partnership Coordinator から Backend Tool Program あたりまでは、トライクレッシェンド(tri-Crescendo)勢が中心です。『テイルズ オブ アライズ』でもプログラム協力をしていました。
- Shigefumi Nakahara(Partnership Coordinator):トライクレッシェンド取締役。バナンザではプログラム協力側の窓口。
- Katsuhiro Ishii(Partnership Coordinator):バンダイナムコスタジオのエンジニアマネージャー。
- Yoshiharu Miyake(Optimization Support):トライクレッシェンド所属。プログラムディレクターなどを歴任。
- Munehito Yasui / Yoshitaka Nakao / Koji Nomura(Optimization Support):トライクレッシェンド所属で『テイルズ オブ』シリーズ参加歴あり。
- Tatsuya Imai / Satoshi Ogita(Backend Tool Program):同じくトライクレッシェンド所属で『テイルズ オブ』シリーズに参加。
ソフトチェック系
最後に、ソフトチェック(Soft Check)まわり。
- Kazuki Tsukuda(Soft Check Lead):2017年以降の任天堂タイトルで、テストやテクニカルサポートの常連。
- Yu Yoshida(Soft Check):初出は2024年。複数の任天堂タイトルでテクニカルサポート担当。
- Yoshito Yasuda(Soft Check Management):2000年代から任天堂作品のQAに関わるベテラン。
- Hideaki Shimizu / Hideyuki Sugawara / Kiyoshi Takeuchi / Norihiro Aoyagi(Supervisors):3Dマリオ系タイトルでよく見る顔ぶれ。
ここまで整理すると、プログラム班の構図は大まかにこうなります。
- ゲームプレイ部分はほぼオデッセイ経験者
- その周辺に
- バックエンド・オブジェクト・UI・デバッグサポートなどの「新顔」(ただし新人ではない)
- 最適化に強いトライクレッシェンド
- 古参QA+中堅テクニカルサポート
特に興味深いのは、ここにも「品質保証プログラム」「Soft Check」チームがぶら下がっている点です。
プログラムの直下にここまでQAを厚く置くのは、任天堂タイトルとしてもかなり珍しい構造です。
ゲームデザイン側のQA、プログラム側のQA、そして従来のQAセクションを合わせると、ゲーム本体だけで3重のQA網があることになります。
バナンザはオデッセイ終了後に企画が始まり、2021年の段階で既に「Switch2(次世代ハード)」を視野に入れていたことが明かされていますが、この異様なまでに厚いQA体制を見ると、
「ゲームがまともに安定する状態」に持っていくまで、相当な苦労があったのではないか
と感じられます。
少なくとも、「開発者に訊きました」では、そのあたりの苦労はほとんど語られていません。
アート(148名)
アーティストは148名で、そのうちオデッセイ経験者は40名(27.0%)です。
こちらも担当が非常に多いため、
- オデッセイ経験者のみで構成される担当
- オデッセイ経験者と非経験者が混在する担当
- オデッセイ非経験者のみで構成される担当
の3つで見ていきます。
1:オデッセイ経験者のみで構成される担当
- Art_Art Director
- Art_Technical Art Lead
- Art_Field Art Sub Lead
- Art_Senior Field Art
- Art_Field Art Unit Lead Support
- Art_Material Art Lead
- Art_Player Art Lead
- Art_Player Art
- Art_Player Animation Lead
- Art_NPC Art Lead
- Art_NPC Animation
- Art_NPC Animation Support
- Art_Enemy Animation Lead
- Art_Object Art Lead
- Art_VFX Art Lead
- Art_Senior VFX Art
- Art_Senior UI Design
- Art_Interim Art Director / Interim Director
- Art_Artist Management
- Art_Artist Management Support
2:オデッセイ経験者と非経験者が混在する担当
- Art_Technical Art
- Art_Field Art Unit Lead
- Art_Field Art
- Art_Material Art
- Art_Concept Art
- Art_NPC Art
- Art_Enemy Art
- Art_Object Art Support
- Art_Asset Modeling
- Art_Cut Scene Art
- Art_VFX Art
- Art_Artwork
3:オデッセイ非経験者のみで構成される担当
- Art_Field Art Lead
- Art_Player Animation
- Art_NPC Art Support
- Art_NPC Animation Lead
- Art_Enemy Art Lead
- Art_Enemy Animation
- Art_Object Art
- Art_Cut Scene Art Lead
- Art_UI Design Lead
- Art_UI Design
- Art_Sculpting Mode Design
この区分で見ると、構造が非常に分かりやすくなります。
まず、1に属する担当は「舵取り」と「守りの要」です。
アートディレクターはもちろん、リーダーポスト14個のうち9個がオデッセイ経験者となっています。
オデッセイ非経験者がリーダーのポストは、
- フィールドアート
- NPCアニメーション
- エネミーアート
- カットシーンアート
- UIデザイン
といったあたりです。
タイトルはドンキーコングですが、3Dマリオの動きや質感を保証するために、「質感・ルックの骨格」はオデッセイ経験者が握っているのが分かります。
一方で、2に属する担当は、単純に工数が多い分野です。
たとえば、フィールドアートは28名、アセットモデリングは20名と、数の上でも主力部隊となっています。
3は、動き・演技・見せ方に関わる箇所が多く、そこにオデッセイ非経験者を置いているのがポイントです。
プレイヤーアニメーションについて言えば、ティアキンまで遡ってもオデッセイ経験者は1名のみです。
またフィールドアートに関しても、「サブリーダー/シニア/ユニットリーダーサポート」はオデッセイ経験者ですが、肝心のリーダーはオデッセイ非経験者という配置になっています。
これらをまとめると、アート面の方針はおおよそ、
「世界観の骨格とクオリティ基準は3Dマリオ経験者が守る。
ただし、“どんなキャラが、どう動き、どう触らせるか”はマリオ以外の経験者で意図的に差別化する。」
といった構図に見えてきます。
オデッセイ非経験者リーダーを中心に
担当が多すぎるので、ここでは特に目立つ「オデッセイ非経験者のリーダー」だけを見ていきます。
- Ryo Hamada(Field Art Lead)
『ARMS』ではキャラクターアート、『リングフィットアドベンチャー』ではランドスケープアートなど、ジェネラリスト寄りのアーティスト。 - Masaaki Wanifuchi(NPC Animation Lead / Player Animation)
『龍が如く』シリーズのアニメーション制作チーム出身。その後『Death Stranding』でもアニメーターを務めた人物。リアル寄りの作品のアニメーションを手掛けてきた人が、NPCアニメーションリードとプレイヤーアニメーションを担当しているのは非常に象徴的です。 - Eiji Funahashi(Enemy Art Lead)
元プラチナゲームズ所属。『The Wonderful 101』『NieR: Automata』『Bayonetta 3』などでキャラクターモデリングを担当。任天堂案件は『3Dワールド+フューリーワールド』が初。 - Yukinori Arata(Cut Scene Art Lead)
イグニス・イメージワークス時代に『Left Alive』でアニメーターとして参加。任天堂タイトルは『3Dワールド+フューリーワールド』が初。 - Kanji Kobayashi(UI Design Lead)
『ARMS』でHTMLコンテンツ、『スーパーマリオギャラクシー + ギャラクシー2』でUIデザインサポートを担当。
経歴を並べてみると、特に
- NPCアニメーションリーダー:Masaaki Wanifuchi 氏
- エネミーアートリーダー:Eiji Funahashi 氏
の2人は、かなり異彩を放っています。
「マリオ的な文化から意図的に距離を取りたいキャラクター表現」に対して、
あえて任天堂外で磨かれたアニメーション/キャラクター造形の感覚を持ち込んだ
とも読めるアサインです。
豪快なステージ破壊アクションをどうやって成り立たせたか

バナンザはステージをボクセル単位で破壊できる設計のゲームであり、「派手に壊せるのに、ちゃんとゲームとして成立させる」ことが大きなチャレンジだったと考えられます。
実際、スタッフリストを眺めるだけでも、
- ゲームデザイン傘下のQA
- プログラム傘下のQA/Soft Check
- 従来のQAセクション
と、ゲーム本体だけで3重に張り巡らされたQA体制が見えます。
任天堂としても、「壊す楽しさ」を実現しつつ、製品として成立させるまでに相当苦労したのではないでしょうか。
レベルデザインにはFF15で活躍した“サン”氏が入り、プログラムの中枢はオデッセイ経験者が押さえ、その周辺を外部スタジオや最適化チームが固める。
技術・ノウハウの受け入れにはかなり積極的な姿勢が読み取れます。
アート面では骨格をオデッセイ経験者が守りつつ、
「マリオの文法では作ってはならないキャラクター」
をあえて出すために、NPCアニメーションとエネミーアートに外部経験の濃いリーダーを据えるという選択をしているように見えます。
それは、任天堂内部の延長線上だけで完結させるのではなく、外部からリーダーをアサインするという、ある意味シンプルで、しかし一番効果の高い方法です。
おわりに
最初にスタッフリストを眺めたとき、正直なところ私の感想は
「オデッセイやってた人、多いなー」
くらいで終わっていました(実際そこから分析は止まりました)。
ですが改めて、部門別の人数・オデッセイ経験率・リーダー人事・QAの配置などを見直していくと、
- オデッセイの延長ではあるが、
- 破壊表現と暴力性の高いゲームに仕立てるため、
- どこに外部の技術と文化を入れるか
という設計が、かなりくっきりと見えてきます。