今回は2018年06月14日に発売されたDLC、『オクト・エキスパンション』のスタッフリストを見ていきます。あくまでもスタッフリストだけを見ていきますので、ネタバレは多分ありません。なお情報源についてはKyoto Reportを参考にしています。
6/29:再度検証したところ、記事の主旨が変わるほどのミスがありました。これは任天堂とモノリス社員のリストを別々に作成し、同期が不十分であったことが理由です。今後はこのようなことがないよう、両社を最初から統合した形でリストに表していくよう致します。大変申し訳ありませんでした。
スタッフリストを担当別で見ていく
それでは実際に『オクト・エキスパンション』(以下、オクト)のスタッフリストを見ていきましょう。比較として『Splatoon2』(以下、2本編)を用意しています。ちなみにオクトに付いているIDですが、これは
(アルファベット2桁:職種)+(数字2桁:登場シーン)+(数字2桁:便宜的番号)
です。登場シーンは実際にオクトのスタッフリストを見れば分かりますが、何名か表示したら次の人にシーンが切り替わる形ですので、その職種ごとに何番目のシーンで出るか判断できるようにしています。最後の便宜的番号はただ区別のために用意したものです。ちなみに初登場年というものがありますが、入社年と同じです。
ディレクター
オクトと2本編では変化がありません。
ゲームデザイン(18/06/29修正)
ローマ字だけの人が多いですが、調べるのが大変だったからです*1。
人目を引くと思われるのはIS、インテリジェントシステムズ出身のKenji Matsumoto 氏ですが、これは『マリオカートアドバンス』のスタッフインタビュー時の所属を参考にしていますので、2018年現在では違う可能性もあります。
他にゲームデザインで分かることは、1990年代、2000年代登場のスタッフが多いことでしょう。
サウンド
オクトでIsami Yoshida 氏(恐らく今作で初登場)が加わりました。逆に抜けた方は藤井 志帆 氏(直近の関係作品:『スーパーマリオオデッセイ』)とTakuro Yasuda 氏の2名です。
プログラミング
ほとんど変わっていません。Yuji Udagawa 氏が入り、Ichiro Suzuki 氏が抜けました。唯一の例ですが、Kenji Tatsuta 氏は2本編でゲームデザインを担当しましたが、オクトではプログラミングに異動しました。
アート(18/06/29修正)
『Splatoon』シリーズはデザインを細かく分けることはせず、常に一纏めです。デザインという職種の特質上、移動がやりやすいのか2本編ではいなかった方もいます。
また、シーンごとに区切った理由はここにあり、第1~5シーンは任天堂、第6~9シーンはモノリスソフト、第11~12シーンはアルヴィオン社員で占められているからです。このアートの担当割合を会社別で見てみるとこのような形になります。
スペシャルサンクス、プロデューサー(18/06/29修正)
特筆すべきことはアルヴィオンが載っていることでしょうか。
ブレスオブザワイルドに携わった社員はどれくらいいるか?(18/06/29修正)
オクトは『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』(以下、BotW)の祠のようなステージ設計になっているとの指摘が各地でされています。一例として本家IGNのレビューを挙げます。
It’s easy to spot the DNA of The Legend of Zelda: Breath of the Wild’s shrines in many of these challenges: one level might ask you to carefully splat a giant 8-ball to nudge it toward a goal post, while another will have you sniping multiple 8-balls to drive them through switches in a demented billiards table with limited ink ammo in your pack.
出典:Splatoon 2: Octo Expansion DLC Review - IGN 2018年06月22日アクセス
DNAが見つけられると書かれていますが、ではオクトスタッフにBotW開発経験者がいるか調べました。結果は以下の通りです。
ゲームデザインで4名、プログラミングは0でしたが、アートは14名という結果でした。特にアートにおけるBotW開発経験者はモノリスソフト*2に多い結果でした。多くはランドスケープ、つまり祠というよりはハイラルの担当ですが、リードダンジョンデザインを担当したBungo Takahashi 氏を含めダンジョンアート担当の京都モノリス社員もいますので、逆に「案外そう言える証拠もある」という結果となりました。
2本編とオクトのアートスタッフの入れ替わりについて(18/06/29追加)
さて、ここでは入れ替わりが激しかったアートについて共通して担当したスタッフはどれくらいいたか、逆に2本編、もしくはオクトのみ担当したスタッフはどうなのか調べてみました。ちなみに2本編にはトーセ社員もアートに参加していますが「任天堂など」で一纏めにしています。
単位:人 | 共通 | 2本編のみ | オクトのみ | 合計(2本編, オクト) |
任天堂など | 18 | 15 | 22 | 33, 40 |
モノリス | 18 | 06 | 02 | 24, 20 |
全部 | 36 | 21 | 24 | 57, 60 |
共通スタッフは36名でしたが、内訳を見ますとモノリスはどちらかのみを担当したスタッフが2本編で25%、オクトでは10%のみと少なく、逆に任天堂などは約半分が一方のみに関わっていることが分かります。
まとめ
以上オクトのスタッフリストで分かったことをまとめますと
- ディレクター、プログラミング、アート(判明している人のみ対象)は2000年代、2010年代入社で占められている。
- ゲームデザイン、サウンドは他3種と違い1990年代入社の人物も見られる。
- 登場シーンごとに所属が一例を除いてはっきり分けられている。
- アートのみモノリスソフトとアルヴィオンの協力がある。
- BotW開発経験者は京都モノリスに多い。ゲームデザインにおける対象内の4名は1990年代か、2000年代入社。
- 入れ替わりのあるアートも変化を会社別で見ると、京都モノリスは少なく、任天堂とトーセは大きい。
スタッフリストはエンディング後に初めて見られる作品もあり、オクトもその1つでした。私もプレイ中、ステージが祠っぽいと感じましたのでこの結果には最初の衝撃が単なる自分のミスが原因だと分かり、安堵しました*3。
また、オクトが2000年代、2010年代入社の人達によって作られている事実は注目に値すると思います。私は日頃ハル研究所制作作品のスタッフリストを比較していますが、最新作『星のカービィ スターアライズ』も開発スタッフの多くは2000年代、2010年代入社です。ゲーム業界については特定の個人、数名へのインタビューが誌面を賑わせますが*4、ゲームは集団で作る物です。その集団が今どのような性質を持っているのか調べることも面白いと私は感じています。任天堂に関しては豊富なデータベースがありますので、もし気が向いたらまたやろうと考えています。どちらも任天堂ではないですが、デモンエクスマキナとスマブラSPはいずれ…
それでは今回はこの辺で終わりとなります。