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11/19ワンエク「ロボボ・ホイールモードの異質さ」

これはカービィ版深夜の真剣考察60分一本勝負の記事となります。挑戦としては4ヶ月ぶりです。

今回は、というより今回も自由テーマを選択し、「ロボボ・ホイールモードの異質さ」についてやります。

この記事は2016/11/19 21:50に書き始め、22:34に書き終えました。

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 ロボボ・ホイールモードはご覧のようにいくつかの特徴を備えています。

  1. 突き出す矛(無ければダメージを食らう)
  2. 前1輪、後2輪で後ろはタイヤが大きい→突進の衝撃を最大に
  3. 操縦室と突進部分が離れている→激突時の衝撃が操縦者にあまり向かわない。
  4. 排気煙の凄まじいマフラー→巨体の発進には必要

特徴をあげてみると「合理的な設計の、突進専用の乗り物」であると言えます。一度エンジンをかければ大型のマフラーから排気煙をあげ、分厚い矛が敵に突き刺さり、その衝撃は操縦者であるカービィにはあまりこないという流れが決まるからです。「余計なパーツ」は存在せず、突進のために存在する乗り物と言えるのです。

 では、他に「余計なパーツ」が存在せず、突進に強い乗り物と比較してみましょう。

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説明画面のように矛が無い状態で突進してもダメージを食らう。

ウィリーバイク

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出典:操作方法3 -カビスマランド-

まずはウィリーバイクでいきましょう。ウィリーバイクはダッシュ中、無敵となりますが、合理的な説明は今まで為されていません。この状態でダッシュしてもカービィに傷一つ付かないことに誰かが疑問を出しても「ゲームだし」で終わります。

伝説のエアライドマシン

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出典:操作方法3 -カビスマランド-

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出典:操作方法3 -カビスマランド-

 『カービィのエアライド』で登場した伝説のエアライドマシン、ハイドラとドラグーン。ハイドラは圧倒的な速度による攻撃がウリですし、ドラグーンも『大乱闘スマッシュブラザーズX』の『亜空の使者』で亜空砲戦艦を一撃で沈める戦果を上げていますが、両者とも何故それほど強いか説明されていません。ハイドラの虫のような造形、ドラグーンの羽を広げる機能が何を意味するのか、はっきりとは分からないのです。

デビルスター

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出典:操作方法3 -カビスマランド-

 突進で強い乗り物となると、『カービィのエアライド』のデビルスターも有名ですがこれも文字通り"悪魔的"な造形から「強そう」という雰囲気は醸し出していても、何故突進に強いのか、体力が低いのかの説明がありません。

Ex.レックスウィリー

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出典:操作方法3 -カビスマランド-

  ロボボ・ホイールモードのように大きなマフラーを備えた乗り物としてレックスウィリーがありますが、そもそもレックスウィリーは攻撃に向いている訳ではありません。では何故攻撃に向かないのか、その説明はやはりありません。

Ex.戦艦ハルバード

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 戦艦ハルバードは突進に向いたデザインではありませんが「合理的な設計」としては一応範疇に入ります。ですが、現実において、空中戦艦というカテゴリに入る兵器は存在しません*1ので合理性の具体的な議論は不可能に近いです。あくまでも「兵器として」なら多数の対空砲、二連主砲、仮面の側面、下部にあるレーザー砲が装備されているという設計になっているとしか言えません。

 こうして見ると、『星のカービィ』シリーズには「強い」と定義されて何故強いかの説明は全くしないというファンタジー的な乗り物が多いことが分かります。戦艦ハルバードのように兵器として「強い」と言える物はあっても、それがどれほど強いか具体的な議論をしようとすると空中分解必至のものもありました。こういった今までの乗り物と比較するとロボボ・ホイールモードのデザインは「異質」と言えるでしょう。

誰が作ったのか?

 そこから一歩進むと、気になるのは「このホイールモードのデザインはどこからきたのか?」という点です。憶測に過ぎませんが一つ手がかりになるものはあります。

それがハル研究所公式HPの職種紹介02:デザインで紹介される、佐藤 悦子氏のデスクです。

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このデスクの右から2番目にある書籍、恐らくこれのことだと思います。

メイキング・オブ・マッドマックス 怒りのデス・ロ-ド

メイキング・オブ・マッドマックス 怒りのデス・ロ-ド

 

 そう、マッド・マックスの資料集です。

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突進攻撃も出来、車高が高い車両が闊歩するマッド・マックスの世界。カービィの世界は小さな敵が多いので突進部分を低くする必要が出てきますが、やたら目立つタイヤや明らかに燃費の悪そうなデザインは共通しています。この世紀末的な世界のデザインがホイールモードのデザインの礎となった…と考えるのそこまでおかしい話ではないと私は思っているのです。

*1:余談ですが、空中空母は1920年代後半から1930年代前半にかけて存在しました。「アクロン」や「メイコン」が該当します。