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UESP Lore:タイバー・セプティム[2018/02/17]

 こんにちは。このブログは当初はハル研究所、星のカービィシリーズ関係の記事を投稿し続けてきましたが①記事に出来るものが粗方無くなった、②ハル研究所自身が情報発信に積極的になったため記事にするまで必要な情報が増えたことにより記事投稿が無くなっていました。元々興味を持ったことをまとめる場所ですので『The Elder Scrolls Ⅴ:Skyrim』Nintendo Switch版配信を契機に再び活発化したThe Elder Scrollsシリーズ(以下、TES)の世界への探求欲を反映させた記事を今回は書きました。

 今回はThe Unofficial Elder Scrolls Pages、UESPというTESのwikipediaのタイバー・セプティムの記事を翻訳していきます。何故UESPなのかと言いますと①過去のブログでそれを翻訳していたから*1、②wikipediaのように感情的な記述が比較的少ないので出来が安定しているからという2つの理由があります。そのため記事の前半は翻訳、後半は個人的な考察を述べる形となっています。

Lore:Tiber Septim - The Unofficial Elder Scrolls Pages (UESP)

 対象はタロス信仰の元であるタイバー・セプティムの記事です。非常に有名な人物ですが非常に謎が多い方です。第一紀のようなエイドラとデイドラとエルフとエルノフェイが平然と交じる世界ではなく、既に神話は終わりある程度信憑性のある歴史が紡がれるはずの時代の最重要人物でありながら種族すら不明のこの男を見ていきましょう。

タイバー・セプティム

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 タロス将軍、ヒャルティ・アーリービアード、ドラゴンボーン、そしてイスミールとしても知られるタイバー・セプティムは、第二紀854年から第三紀38年の間皇帝タイバー・セプティムとして君臨したタムリエル史上最も有名な人物の一人である。第二紀828年にノルドの大陸であるアトモーラで生まれたと信じられているタイバー・セプティムは、シロディールの王クーレケインに仕えタロス将軍と知られるようになった。そこで彼はシロディール、最終的にタイムリエルを統一するために戦った。この努力は第二紀896年における第三帝国誕生に至った。

 彼は同年の終わりに第三紀の開始を宣言する責任もあった。最終的に81年間セプティム朝を支配し、多くの人が歴史を通じて最高の皇帝であると考えている。そしてタイバー・セプティムはシロディールの皇帝系譜に彼の名前、セプティムを与えた。タイバーはタロスの名の下で九大神の一柱として崇められており、ストームクラウンを意味している。

(タイバー・セプティムには誕生地、家計、本名が相違する2つの記述がある。以下は公式に承認された通説とアークチュリアン異教で概説された異説である。)

通説

 彼はタロスという名前を持ってアトモーラで生まれた。これは古いエルノフェイ*2の言葉でストームクラウンを意味している。青年時代をスカイリムで過ごし、そこで古代の舌の技術と首長達から戦争戦略を学んだ。20歳の時オールドフロルダンの侵略を導き、ハイロックのリーチメンから奪還したことが最初の軍事的勝利である。すぐ後には嵐が広がりグレイビアードがタロスと話そうとしていたことが分かった。タロスはグレイビアードのいる山まで赴き、着くとグレイビアードは猿轡を外し彼の名前を声に出した。すると世界が揺さぶられた。

 グレイビアードはタロスに其方がタムリエルを支配すると言い、それを成し遂げるには南に進軍しなければならなかった。出発する前にタロスは高峰の風の秘密を学んだ。(冬の爆発の轟音と夏の上昇気流の暖かい生糸)彼は山から降りてきた時、狡猾な悪知恵と謎解きへのグレイビアードの贈り物と主張した偉大なブーツで空気を大股で歩き、雲に乗って来た。*3

 タロスは王、後の皇帝クーレケインの下でコロヴィアの将軍となった。タロス将軍はクーレケインと敵対していたサンクレ・トールの地でスカイリムとハイロックの合同軍と会った。スカイリムの軍勢はタロスがスゥームを使い、彼がスカイリムの息子で人間による帝国の相続人だと知ってタロスの下に加わった。しかしブレトンは物事をノルドとは別に見た。将軍は第二紀854年にハイロックのナイトブレード*4によって喉を切り裂かれたものの九死に一生を得たが、クーレケイン皇帝は殺された。タロスはもはや声を使えなかったが、タムリエル全土に囁きを通じて命令した。彼はシロディールの名前としてタイバー・セプティムと名乗り、またノルドの王の名前として「北方の竜、イスミール」を取った。*5タイバー・セプティムは第三紀38年に亡くなった。

異説

(ここで紹介されている異説は『アークチュリアン異教』の多くを共有しているが、重要な点が異なっている)

 ヒャルティ・アーリービアードはハイロックのアルカイアの島で生まれた。タムリエルを支配する運命にある将軍の噂が沸き立つ中、彼はクーレケイン王のため立ち上がり、シロディールを統一するため戦った。彼の秘密の同盟者イスミール、キングメーカーの存在を知る者は殆どいなかった。

 アンダーキングは若い将軍に援助を提供したが、その援助方法は『アークチュリアン異教』には漠然としか書かれていない。しかしヒャルティと話す嵐の言及があり、ヒャルティがオールド・フロルダンの壁を叫んで無力化する間矢を弾いたと言われている。この地でヒャルティは部下にストームクラウンを意味するタロスの名を与えられた。

 この嵐は、グレイビアードによって再び灰にされたアンダーキングによるものの可能性が高く、彼は灰色の風のイスミール、またはカイネの嵐とも呼ばれている。東ハートランドが制圧された後、ヒャルティはクーレケインとその忠臣を帝都で暗殺し、彼らの死とその後の火災の罪をハイロックからの暗殺者に問うた。アンダーキングは彼の征服事業を助け続け、ヒャルティはタイバー・セプティムの名を取ってルビーの玉座に上った。*6

身の上

  1. 通説では第二紀828年にアトモーラという古代の大陸で生まれたと言われている。
  2. タイバーはノルドの血であると信じられているが、両親の身元の記録はない。
  3. スカイリムで過ごしていたにも関わらず、彼の青年時代の詳細はよく知られていない。
  4. タイバー・セプティムには未知の女性との子供がおり、その子供には1人の息子、ペラギウスがいた。
  5. いくつかの書では、ペラギウスはタイバー・セプティムの長男であるという明らかな誤りを主張している。
  6. 『本物のバレンジア』では晩年に後のダンマーの女王、バレンジアと不倫関係を持ち流産させたと言われている。
  7. 彼の統治は第二紀854年から第三紀38年に亡くなるまでの81年間続いた。

個人的な考察

 タイバー・セプティムという人物は為政者らしく、前歴がよく分かっていません。バレンジアも検閲を加えられるような自身にフォーカスした本、『本物のバレンジア』の著者を保護していましたが、彼も真実と虚構を戦略的に利用した人物だったと言えます。何故なら

  1. アトモーラは第一紀143年にハラルド王によりアトモーラ大陸に残された遺物の放棄を宣言。そもそも第一紀68年以降アトモーラは人が住める地ではなくなっている。そうでありながら通説では第二紀828年にアトモーラで生まれたとされている。
  2. グレイビアードにタロスが祝福されたことは事実だが、政に関わらないはずのグレイビアードが何故かタロスには「其方はタムリエルを支配するが、そのためには南へ行かなければならない」と介入している。
  3. 『アークチュリアン異教』ではクーレケイン王やここでは紹介しなかったが右腕だった魔闘士ズーリン・アルクタスの暗殺・抹殺を指摘されながらも、それらがアンダーキングの仕業だと仄めかし完全な”暴露本”にはなっていない。むしろ自己弁護に近い。

と実際の人生に対する脚色が行わなれているからです。面白いのはその虚構の混ぜ方で、生まれの地は熱心な信者でも擁護が難しいながらも、グレイビアードへの祝福は空を歩いたという若干の嘘、グレイビアードが政を行った矛盾を混ぜながらも事実を保ち、正当性に関わる王や忠臣の抹殺では都合の悪い異説にアンダーキングがすり替わったという説明を加えてむしろタイバー・セプティムはそうさせられること(味方の暗殺)を余儀なくされたと印象づけようとする非常に高度な政治戦略へ発展しています。有能な者はバッドイベント、ステータスですら幸運と信じ込ませてしまう程の”力”を持ちますがタイバー・セプティムもその一人だったのかも知れません。とはいえ、それでも何故アトモーラの生まれだとさせたのかはよく分かりません。

*1:今は放置されているManor's Book Caseにあります。出来は酷いものです

*2:人間の元を指します。ノルド、レッドガード、ツァエシの元になったと『子供向けのアヌの伝記』で言われています。

*3:この段落は意味不明です。

*4:そのような組織があったとはUESPには書かれていませんが、TESではお馴染みのクラスです。Skyrimでは片手、変性、破壊、軽装、隠密に経験値が入るクラスとしてNPCに用意されています。ESOでは暗殺や隠密に向くクラスです。

*5:原語では「Ysmir, the Dragon of the North」とそのシンプル版の「Ysmir, Dragon of the North」の2つが紹介されましたが、訳し分けられませんでした。

*6:帝都の玉座を指します。