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【急翻訳】『ディスカバリー』制作スタッフの海外インタビュー

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ワシントンポスト紙が『星のカービィ ディスカバリー』の制作スタッフにEメールインタビューをやっていましたのでDeepLでちゃちゃっと調整して記事にしました。速さ重視ですので固有名詞の訳がいい加減です。ご了承下さいませ。内容に関係しない序文も訳していません。

座組は開発者インタビューと同じ4名です。
web.archive.org


Q:『星のカービィ ディスカバリー』は、これまでのゲームとは比べものにならないほど映画的なアドベンチャーになっています。ゲームプレイでは映画のようなダイナミックなカメラアングルが登場しますが、どのように制作されたのか、少し教えてください。

二宮:ダイナミックなカメラアングルは、HAL研究所のこだわりがあってこそ実現できたものです。3Dゲームではカービィの後ろ姿を見ることが多いので、カービィの顔を見せるシーンを作りたいとハル研と相談しました。

例えば、ステージ冒頭のワープスターに乗っているときや、ワドルディーを助けるときなど、カービィの生き生きとした表情が見える場所を追加しています。その結果、広大な世界を表現するカメラアングルと、カービィや表情のアップが混在し、よりダイナミックなシーンに仕上がっています。

熊崎:カービィシリーズの驚きを提供しつつ、各作品の特徴を最大限に生かすというバランスも課題です。例えば、ニンテンドー3DSソフト『星のカービィ トリプルデラックス』では、横スクロールのタイトルでありながら、ゲームの特性として立体視を活用し、レイヤーの重なり方が異なるマップの背景と手前の空間を強調したビジュアルを選択しました。
『星のカービィ ディスカバリー』は初のフル3D作品ということもあり、これまでのどの作品よりも360度全方位に広がるドラマチックなビジュアルを実現することができました。また、アクションやゲームプレイに最適なカメラアングルを常に意識しています。イベントシーンや新エリアへの入り口、ボスまでの道など、プレイヤーが細かい操作を必要としない場面では、よりドラマチックなアングルを使用するなど、シーンに応じたカメラの使い分けを行いました。

遠藤:熊崎氏からもお話がありましたが、開発時のレベルデザインの基本は、「遊びやすいレベルでありながら、ダイナミックなシーンを多く盛り込む」ことでした。例えば、スタート地点にランドマークを表示するカメラで、印象的な風景を眺めつつ、進むべき方向がわかりやすいレベルデザインにしています。また、高い場所にある細い道を進むときに、下を大胆に見るカメラを設定すると、道の形がわかりやすいレベルデザインになると同時に、いつ滑って落ちるかもしれないスリリングなロケーションが表現されます。

Q:カービィのゲームのデザインの核となるものは何でしょうか?

熊崎:HAL研究所としては、「親しみやすさと奥深さ」を基本コンセプトとしています。「親しみやすい」とは、一目見ただけで誰もが遊びたくなるような、ワクワクするような、親しみやすいシリーズを目指すという意味です。これは、デザインとゲームプレイの両面で言えることです。これは、一人でも多くのユーザーにゲームのスタートラインにたどり着いてほしいという思いからです。

「奥深さ」は、ゲームを掘り下げると見えてくる、満足度の高いステージや豊かな世界観の構築を表しています。序盤の印象との違いを感じてもらえるよう、意外性のあるクライマックスや刺激的なボスデザインも用意しました。

その驚きをより魅力的にするために、カービィのデザインはいつもかわいらしく、最初のステージはちょっとメルヘンチックに仕上げています。最初のかわいい見た目とステージデザインなど、クライマックスに登場する要素のギャップが、カービィは多種多様なゲームの中でも特別な存在なのかもしれませんね。

Q:「誰でも遊べるゲーム」という基本を守りつつ、より多くのチャレンジを実現するために、チームはどのような進化を遂げてきたのでしょうか。

二宮:初心者から経験者まで楽しめる要素を複数盛り込みました。一例として、難易度設定の導入があります。春風モード」は、カービィが敵の攻撃を受けても倒せるだけの体力があるように調整されており、初心者でもクリアしやすくなっています。一方、「ワイルドモード」は、敵の攻撃をかわしながら上手に当てることが要求されるバランスになっています。

もう一つの例として、各ステージに設定されたミッションは、初心者には無視できるものですが、経験者には難易度を自分で選んで挑戦できる起爆剤になっています。

神山:誰でも簡単に楽しめるように、3Dアクションゲームを苦手とするプレイヤーのサポート策を講じています。

3Dアクションゲームの難しさの代表的なものは、距離感の取り方です。カメラの位置から手前や奥までの距離を把握するのが難しいのです。カービィの攻撃が画面内の敵に重なり、あたかも攻撃が当たったように見えても、敵との距離が遠すぎて実際には当たらないというケースもあります。

そこで、画面上で攻撃が当たりそうなときに、カービィとカメラの相対的な位置関係から、カービィの攻撃範囲を自動的に最適化する機能を盛り込みました。これにより、3Dアクションゲームが苦手な方でも、2Dアクションゲームと同じ感覚でプレイしていただけるようになりました。この基盤があれば、プレイヤーはいつでも変更できる難易度設定で、ゲーム後半に登場する強敵との戦いを楽しむことができると考えています。

遠藤:3Dのゲームを遊びやすくすることに重点を置いた場合、敵やパズルを避けやすくすることがありました。前作では、ある程度敵を避けながら進めるという初心者向けのレベルデザインを採用していましたが、これでは敵を避けるのが面倒になってしまい、多くのプレイヤーが楽しめなくなってしまうのではないかと、任天堂のスタッフと何度も話し合いました。

そこで、親しみやすさを残しつつ、あえて敵やパズルの密度を高めたレベルデザインを取り入れました。敵を倒したり、パズルを解いたりすると、次の敵やパズルが見えてきて、強い敵や意外な展開に勢いよく出会えるというものです。さらに、それぞれの敵がカービィを的確に狙って攻撃してくるように調整し、戦闘の難易度を高めています。

誰でも気軽に遊べてゴールまでたどり着ける3Dのカービィでありながら、経験者の方にも手ごたえを感じていただけるような作品に仕上げることができたと思っています。

Q:カービィのゲームはどれもファンタジー要素をふんだんに盛り込んだ、ごまかしのきかない深いストーリーになっていますね。カービィのストーリーの中には、ダークな要素もありますが、どのようなところから着想を得ているのでしょうか?

熊崎:カービィのイメージは「かわいい」というのが大きいと思います。しかし、『星のカービィ』では「意外と奥が深いんだよ」ということを伝えるために、ストーリーの方向性を決めました。

『星のカービィ 夢の泉の物語』の時代、ラスボスはデデデ王だと思われていたのに、ナイトメアというもっと恐ろしい黒幕がいて、悪夢の力で夢の国を乗っ取ろうとしていることがわかったんです。それ以来、表向きのストーリーがあり、後から隠された真実が明らかになるという、このようなゲーム構成がずっと続いています。

見た目もゲーム性もかわいい「星のカービィ」シリーズでは、クライマックスを迎えたときに衝撃的な展開で子どもたちを驚かせ、上級者には期待以上の刺激的なチャレンジで引きつけることを目標に、ゲームストーリーを書いています。同じゲーム内でも、キャラクターや場所、曲名などは、実は進行するにつれて暗くなったり、シリアスになったりして、徐々にクライマックスに近づいていくのです。

しかし、どんなにシリアスなストーリーでも、中心は常にカービィであり、食べることが大好きなかわいくて不思議なヒーローであることに変わりはないのです。現在のカービィシリーズでは、カービィを束縛するような不変の事実や設定の確立を避けつつ、新しい驚きを提供することに重点を置いています。

Q: ゼルダのタイムラインと同じように、カービィの全作品をつなぐ物語の糸があるとお考えでしょうか?

熊崎:ゲームストーリーに明確な時間軸はありません。これは、過去の設定にとらわれず、長い歴史のあるシリーズでも、毎回新しいことにチャレンジしやすく、最適なゲームプレイを優先させるためです。

ただし、オープニングでカービィがデデデ王と初めて出会うのでは、ストーリーはあまり進みませんので、プレイヤーが自然に受け入れ、理解しやすいストーリー要素を継承しています。例えば、マホロアが過去の行いを悔いてプププランドへ行くとか、メタナイトがカービィに復讐するとか、新作をより良くするために効果的なストーリー要素を採用しています。

また、ストーリーのテキストを書く際にも、細かいところにまで気を配っています。というのも、今後の作品にこれらのストーリー要素を継承していくには、まず各回の詳細な設定を用意する必要があるからです。ただ、カービィシリーズのメインはアクションやゲーム性なので、それらをより魅力的にするために必要な設定は毎作品ごとに用意しています。

Q:「ほおばりヘンケイ」の変身は、カービィの文脈でなければ、かなりおどろおどろしいものもありますね。どのようなオブジェクトがこの新しいモードに貢献するのか、チームはどのように決定したのでしょうか?

二宮:そうですね。カービィの変身を見ただけで、何を吸ったのかがわかるようにすることが重要でした。カービィが現実の物を意外に使っていることが、面白く表現できると考えたのです。例えば、車の口では、車の一部が顔を出しています。階段の口」では、階段は見えませんが、輪郭からカービィが階段を吸い込んだことがわかります。

神山:面白い形を選ぶのはもちろんですが、ほおばりヘンケイでカービィがどんなことができるのか、驚きの要素も考えています。三角形や四角形は、シンプルでありながら、普段のカービィとは大きく異なる形をしています。

円錐形のヘンケイでは、カービィは地割れを突き破ることができますが、カービィが円錐形を吸い込んだ時点で、プレイヤーはカービィにそれができるとは思っていないでしょう。三角コーン状態でのカービィの攻撃方法を見れば、カービィが亀裂を突き抜けることができると推測できるはずです。

吸い込んだ直後のカービィは何ができるのかわからないことが多いですが、このほおばりヘンケイの意外性が、本作をより面白いものにしていると思います。また、カービィができることには汎用性があります。例えば、リングマウスでは強い風を吐いて敵を吹き飛ばすことができますが、カービィはその風を利用してボートを加速させることもできるんです。

遠藤:神山さんがおっしゃったように、カービィの見た目が大きく変わり、かつカービィが変身しやすく、その姿のカービィができることを想像しやすい形を基本に考えました。また、カービィの技とうまく噛み合うように、既存の敵やコピー能力との組み合わせに適したものを考えました。

例えば、三角コーンは地面に穴を開けることができるので、シャッツオの放つ弾を避けて進むことができます。

階段なら、「ファイアーカービィ」が点火した「導火線」の行く手を階段が阻んでいる場合、階段を吸い込んで邪魔をし、火種が消えないようにすることができます。また、階段を登ると、より高い位置にある導火線付大砲にたどり着くことができます。(つまり、導火線の上に階段を置くと火花がそれ以上飛ばないので、階段を吸い込むことで邪魔にならないようにするだけでなく、より高い台にある大砲に届くようにするのです)

既存の敵やコピー能力との組み合わせに適したオブジェクトを選んだ結果、既存のゲームプレイの多くを強化することができたのです。

Q:3Dという新しい視点は、この冒険のレベルデザインにどのような新しい可能性をもたらすのでしょうか?

二宮:ショッピングモールや遊園地など、さまざまな風景を3Dで表現することが容易になりました。その風景に合わせたゲーム性を提供することで、それぞれのステージの特徴を際立たせることができました。

例えば、ショッピングモールでは店先の看板を見て進むべき道を決める仕掛けがあり、遊園地ではジェットコースターやパレードの山車が暴走するゲーム性を体験することができるのです。

遠藤:これまで培ってきた2Dアクションのゲーム性をどう生かすか、というところからスタートしました。新しいゲーム性を開発する中で、今あるものを3D化することでどのような拡張が可能かを考えました。

レベルデザインでは、どんな新しい動きができるかを念頭に置きました。吸い込んだり吐き出したりするのはカービィの定番の動きですが、左右から吸い込んだものを画面の奥に吐き出したりすることができるようになりました。

2Dアクション時代も、敵は背景から手前に向かって爆弾を投げていましたが、コピー能力を使って敵と戦うときに、3D空間を自由に動き回れるようになりました。奥に向かって爆弾を投げたり、爆弾を落として坂道を転げ落ちたりすることができます。3Dになったことで、よりクリアしやすく、より楽しめるようになりました。

また、より広大な空間を探索できるのも3Dの魅力です。草原、ショッピングモール、遊園地、ワドルディの町など、さまざまなステージを散策するのも楽しいでしょう。やりこみ要素も満載。ミッションをクリアしたり、ほおばりヘンケイで変身して秘密の洞窟を発見したり、いつものように隠し扉も用意されています。

『星のカービィ ディスカバリー』は、初心者からベテランまで楽しめるゲームなので、ぜひ遊んでみてください。

Q:この先、カービィのアドベンチャーゲームが永続的に進化していく可能性があるという自信はありますか?

二宮:カービィは3Dアクションプラットフォーマーというジャンルに、シリーズの象徴的な要素であるノンストップの気持ちいいアクションや興奮を盛り込んだ作品になりました。また、遊びやすさはそのままに、上級者への挑戦的な要素も盛り込みました。本作で実現したことで、今後の『星のカービィ』の可能性がさらに広がったと感じています。

この勢いで、今後も新しいジャンル、新しい遊び方を開拓していきたいと思います。

熊崎:フル3Dというのは確かに新鮮ですが、必ずしもこれが今後のスタンダードになるとは限りません。

この点については、任天堂さんも同じ考えを持っていて、よく話し合っています。現在想像できる範囲を超えて、新しい革新的な『星のカービィ』を作ることに挑戦していきたいと思っています。このゲームは、その挑戦が実を結んだものです。これからも3Dにこだわらず、試行錯誤していきたいと思います。

とはいえ、ひとつ言えるのは、『星のカービィ ディスカバリー』は、シリーズの長い歴史の中でも重要な「節目」と言えるほどの大きな変化があったということです。

Q:『星のカービィ スターアライズ』から得た教訓は?発売後のサポートが充実しており、ほとんどライブサービスのような状態でした。『星のカービィ ディスカバリー』や今後の『星のカービィ』でも、そのような機能が追加される可能性はありますか?

二宮:発売後のアップデートで追加された『星のカービィ スターアライズ』の「アナザーディメンションヒーローズ」は、一般的な『星のカービィ』よりも難易度が高いにもかかわらず、プレイヤーから好評を博しています。そのため、上級者向けのやり込み要素も随所に盛り込むことにしました。

熊崎:アップデートについては、今のところお伝えできることはありません。

もうひとつの質問ですが、『星のカービィ スターアライズ』から学んだことはたくさんあります。当時は究極の横スクロールのカービィを目指していたので、4人協力プレイやフレンズ能力など、拡張性の高い要素を多く盛り込みました。

さらに、ワールドマップやラスボス戦に3D操作のエリアがあり、最新作にも活かされています。また、『星のカービィ』のマルチプレイアクションは、『スーパーカービィハンターズ』や『カービィファイターズ2』にも取り入れられており、複数のキャラクターがバトルを繰り広げます。

一方、『星のカービィ』はカービィ本編では初のHD作品であり、本作のグラフィック技術は『星のカービィ ディスカバリー』にも活かされています。『星のカービィ スターアライズ』は要素の集大成であり、その中から学んだことがその後のゲームに活かされているものも多くあります。

また、『星のカービィ』から学んだことは、新たな体験につながると信じています。これからの『星のカービィ』シリーズにご期待ください。

Q:カービィのゲームで、どの機能を次回作に継続するかは、チームでどのように選んでいるのでしょうか?

二宮:前作を踏襲するのではなく、新作を作るにあたって、あらゆる要素を可能な限り検討します。時代や技術、プレイヤーの変化など、さまざまなことを考慮し、より良い体験を提供できるようにしたいと考えています。

例えば『星のカービィ ディスカバリー』では、コピー能力を入れるかどうか悩んだ時期もありました。既存の機能で見直したのは、コピーできる敵をカービィが吸い込むとコピー能力が自動的に発動し、ボタン長押しで能力を落とせるようにしたことです。

熊崎:まず、どんなゲームを作りたいか、それが魅力的で斬新なものであるかどうかを考えます。その上で、既存の機能の中から選ぶのではなく、どのような要素を取り入れると、さらにゲーム体験が深まるかを考えます。

アイデアはまずHAL研で培われます。企画が具体化したら、任天堂と共有し、コラボレーションのフェーズに移ります。どのゲームも、ひとつの小さなアイデアから始まり、「星のカービィ」シリーズに合った形で膨らんでいきます。その過程で、私たちが考えているゲームデザインにマッチするアイデアがあれば、既存・新規を問わず採用しています。以前からあるものだから、新しいゲームにはないだろうということはありません。カービィの伝統的な要素はある程度引き継ぎますが、それも今作っているゲームに合うかどうかをよく吟味しています。常にチャレンジしていきたいですね。