Papen's Piling

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「お人形遊び」と『Kenshi』

突然ですが、皆さんは「お人形遊び」をしたことがありますか?

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普通のお人形遊び
わざわざ括弧で覆ったのは、お人形遊びと言っても文字通りのお人形である必要はないからです。

レゴブロック、おもちゃの兵士*1、中古買取屋で雑に売られている数百円程度のフィギュア、どうやって遊ぶのか分からないカプセルトイを配置して、特に固まってる訳でもない設定を土台に、「お人形」をとっかえひっかえして遊ぶもの。

そう形容すればいいでしょうか…。"小っ恥ずかしくて"人生で言語化する気が今まで無かったものですから上手く言えないものです。
この遊びの特徴を分解してみると

  1. その舞台となる世界を見下ろせる状態
  2. 操作する人と主人公は一致しない。全てがアバター
  3. 操作する人が動かしていない世界は、何も展開しない

そんな「お人形遊び」、私はゲームで代替できないのか探してました。
Steamで「サンドボックス」「オープンワールド」「シミュレーション」「ストラテジー」で絞り込みをかけたことが何度あったか思い出せません。

その探検の中、遂に見つけたのが…「Kenshi」でした。

「Kenshi」というゲームも日本でそれなりに知られ、数多くの動画、プレイ日記、レビューがあります。
この記事もこの「Kenshi」が持つ魅力について語る、そんなものになりそうです。

(文体がいつもと違うのは、私の人生の独白に近いもので特に整理する気がないからです。)

「わたし」と「あなた」の壁

 ゲームはプレイヤーが"主人公"を操作して何らかの目的を達成させるもの…と言っても大体は間違いではないと思います。主人公が喋る・喋らない、メタの有無等色々違いはありますが、その原則は揺らぎません。主人公とは言っていますが、コントローラやカーソル、マウスポインター、自分の指も主人公とすればパズル、謎解きも入ります。

無論、私もそのようなゲームが好きです。ですが、もう一つのやりたいこと「お人形遊び」は実現できません。

先程お話しましたように、「お人形遊び」は操作する人形を自由に変えられる必要があります。ですが、ゲームは主人公とNPCで異なった法則が適用されています。クリボーやクッパはキノコでパワーアップしませんし、シミュレーションゲームのAIにはプレイヤーにないなんらかのデバフ・バフがかけられています。

 サンドボックスゲームやMODを許容するオープンワールドゲームならどうでしょう?
大量にNPCを配置して主人公に集う集団は作れます。が、彼らはあくまでも味方に過ぎず操作して動かすことはできません。フェイスデータなどをエクスポート、キャラメイク時にそれをインポートして「味方」を主人公とするデータは作れますが同期はされません。仮にするとしたらあまりにも大変です。

つまり、彼らはどこまでいっても主人公から指令を下されて動くキャラクターです。「わたし」と「あなた」の壁は崩れません。
「一方その頃…」をゲームでとんちをきかせずに実現する術はない…と言ってもいいでしょう。

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彼女は従者、「わたし」にはならない。ー『Fallout 4』

隔絶された環境

 
ここで「サンドボックス」と「オープンワールド」では代替が難しい訳を書き連ねました。
しかし後半の「シミュレーション」「ストラテジー」はまだです。今度はそちらを見ていきましょう。

シミュレーションゲーム、ストラテジーゲームは操作の都合上、見下ろし視点となります。
その神の視点から駒を、ユニットを、方針を、内政を、物流を、組織を、戦争を動かしていきます。
ある程度自由に駒を動かせるので、ユニークでないモノなら代替もRPも可能です。

シミュレーション、ストラテジーゲームにも終着点、終わりはあります。
が、だらだら長く続ける…というのは不可能ではありません(『Civilization』や『Endless』シリーズの勝利条件から時間制限を外すなど)。
実際、時間制限をある程度気にせずに済む『Stellaris』はお人形遊びをしたこともあります。

ここまでは完璧ですが、最後の点「操作する人が動かしていない世界は、何も展開しない」が問題です。

育った自勢力は、他勢力から危険視される、あるいは終盤登場の敵対勢力から付け狙われ、戦火から逃れることは出来ません。そうでなくとも、気候変動やChaos Corruptionで勝利条件を満たすことを余儀なくされます。
舞台はあくまでもバトルフィールドであって、いつまでも遊べる砂場ではありません。

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AI同士の乱戦を見るのは楽しいが。ー『Stellaris』

ちなみにこの点については、サンドボックスやオープンワールドなら大体達成できます。

『Kenshi』

 そして出てくるのが『Kenshi』です。『Kenshi』というゲームの魅力を挙げるならば

  1. 自由度の高さ
  2. (自由度に伴う)真っ当に生きることが難しい難易度設定
  3. 様々な種族・勢力が登場する独特の世界観

辺りがよく語られます。他にも「昔はごっこ遊びが好きだった」(究極の時間ドロボウ。今話題のPCゲーム『KENSHI』とは? - 退屈ブレイキング)人にオススメできる点もあると他レビューには書かれています。
ごっこ遊びとはまた違いますが、この『Kenshi』は「お人形遊び」と見事に調和します。

まず、「その舞台となる世界を見下ろせる状態」は見下ろし視点ということで達成されます。カメラを回転させジオラマを楽しむようなこともできるのもポイントです。

「操作する人と主人公は一致しない。全てがアバター」も問題ありません。定番の放浪者スタートは一人から始まりますが、では彼・彼女が主人公なのかと言えばそれは「操作する人」の自由です。ロールプレイ、何かの作品のキャラの"異世界転生"、駒として徹底的に酷使する…それは操作する人が自由にできます。仲間を人食いの檻に入れても恨まれることはありませんし、ユニークNPCですら敵対視する勢力に攻撃を勝手にかけたりはしません。

そして最後の「操作する人が動かしていない世界は、何も展開しない」。拠点を建てると襲撃は来ますが、逆に言えばそれぐらいです。様々な勢力が入り乱れる都市などでは大乱戦が起こるかも知れませんが、それも自分の視界内…読み込み範囲内でしか動きません。

これら全てが揃うのは、『Kenshi』しかない…というのが2019年時点の私の見解です。
序盤の導線がほとんどないため最初は非常に大変ですが、インポートすれば後は労せず舞台は用意できますし、MODの助けも借りれば、今は使わないお人形を放置しておくこともできます。

これに気付いた結果が、4月時点でのプレイ時間:983時間なのかも知れません。

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写るユニットを全て操作できる。巨大なロボも。 ー 『Kenshi』

RTS+RPG+サンドボックス=???

蛇足ですが、最後に『Kenshi』を詳しく解剖します。
『Kenshi』というゲームをシステムから見ると、ジャンルで言うRTSとRPG、サンドボックスの融合体と言えます。
このRTS+RPG+サンドボックスですが、その計算結果はなかなか奇妙なものだと、ここまで書いて思いました。

  • RTSのゲーム、『Company of Heroes』『Age of Empire』『Total War』辺りが私が咄嗟に思いつくものですが、どの作品も共通して「全てのユニットを掌握し切れること」が鍵です。"遊んでいる"ユニットがいれば対人戦ではまだまだですし、NPCの猛攻も防げません。
  • RPGは幅が広いため一概には言えませんが、「そのキャラの役割を演じきること」が大事と言えます。
  • サンドボックスは「その場で自由に遊ぶこと」が重要です。

これらが全て合体すると、不思議なことに「全てのユニットを掌握し切れること」というRTSの性質が消えていきます。何故なら、「キャラの役割」に"今は操作しない、場外キャラという役割"が誕生するからです。そのやり方も許容されるのはサンドボックスのおかげでしょう。

ユニットを操作するゲームでありながら、ユニットを操作しなくても良い。それが『Kenshi』の持つ一面だと私は思います。

*1:正式名称は何でしょう…。