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【翻訳】Forbesに掲載された、安藤浩和へのインタビュー記事「カービィ・ミュージック:今猶ゲーマー達を吸い込む」

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 今回は、Forbesに掲載された、安藤 浩和へのインタビュー記事「https://www.forbes.com/sites/darrynking/2018/06/20/the-music-of-kirby-still-tickling-gamers-pink/#281be5b48b04」の翻訳記事です。いつものことですが、翻訳はいい加減です。
また、今回よりはてなブログの標準機能である脚注を利用せず、小さな灰色の文字で、TC、翻訳者コメントとしてそう翻訳した意図について説明しています。
脚注、スマホじゃ一々スクロールして使い物になりませんので…。


 今年の3月、ハル研究所の『星のカービィ』シリーズ最新作『星のカービィ スターアライズ』がNintendoSwitchより発売されました。このフランチャイズの主人公は、漠然と擬人化された風船ガムの泡と似ているかも知れませんが、ファン達は『星のカービィ』シリーズは戦闘にユニークなひねりを加えた、最高でリッチな横スクロールアクションゲームであることを知っています。そう、敵をすいこんで力を吸収するという特徴です。あぁ、カービィの人目を欺くよちよち歩くかわいさ(TC:原文ではwaddling cutesinessと、ワドルディの語源を組み合わせた上手い表現となっています。)が、おそろしい共食いの冷酷さを隠してますね。

 『星のカービィスターアライズ』は名高いカービィシリーズのゲーム性にいくつかのレイヤーを追加しました。スターアライズは、カービィの巧妙な取り扱いと、ほぼ同身長の仲間達一行による旅のアンサンブル作品です。

 それでも、これはカービィのゲームですので可能な限り最高の方法で、はるかぜのように軽快で楽しい気分になります。主に菓子のようなカラーパレットとデザインがその大部分を担っていますが、カービィと数分の時を駆けた人なら誰でも知っているように、サウンドトラックはスッキリとして、それでいてまごつかせ(TC:原文はgiddifyです。)、戯れるキャラクターとゲーム性にぴったりです。

 私は、カービィ自身と同じように、シリーズの音楽が沸騰しているために複雑さ、奥行きさ、そして並外れたレベルの作曲力が見逃されがちだと常に感じていました。

 任天堂とハル研究所は1993年(TC:1993年は岩田聡が社長に就任した年です。彼が社長になることが任天堂の協力の条件ですから。)に始まったカービィの冒険以来、『スターアライズ』のコンポーザーである安藤浩和とQ&Aを調整するのに十分親切でした。彼は1992年発売の『星のカービィ』で象徴的な曲のいくつかを作曲した、同僚の石川淳と共に働いてきました。(安藤浩和は2001年の『大乱闘スマッシュブラザーズDX』の音楽ディレクターも務めていましたので、私はそれについても尋ねました。)

カービィの音楽について

(質問)安藤さん、星のカービィシリーズの音楽はとても愛されていますよね。キャッチーで、メロディアスで、そして幸せを運び込んでくれます。カービィの音楽について説明していただけますか?

 腕や足が太いにも関わらず非常に軽快な、カービィのようなキャラクターにとっては、音符自身がまるでダンスをしているかのような、激しい変化を伴う速いテンポを持つ曲が最も適したタイプだと感じています。そのような音楽は自然と、耳に飽きることのない豊かさをお客さんに与えることになります。

 しかしそれでは多くの音が出るだけで終わってしまいますので、私は音楽のテーマとなるフレーズを選び、そして形式やスタイルにわずかな変更を加えることによってフレーズのバリエーションを作るのを好みます。それから、これらのバリエーションを持ち出し、私の作品を通じて何度も何度もそれらを再利用しようと試みます。そのため、私が書いた曲は同じフレーズを繰り返したりリミックスされたフレーズを持つ傾向がありますが、その一方で転調や実際の楽譜は激しく、複雑です。

 私が作曲をするとき、曲を人間が演奏できるようにすることについては何も考慮していません。実際、私はいくつかの相当複雑な和音やフレーズを投入することが好きです。ですので、カービィの曲は演奏やハミングが難しいかも知れないと理解しています。しかし複雑な楽譜と構造にも関わらず、ほんとうにたくさんの人達がカービィの音楽を(演奏やハミングするのに)楽しめると思う訳は、曲が少数の特徴的なフレーズだけを持っているからです。

 別の言い方をすれば、私が考えられる全てを一曲や一つのゲームに詰め込むよりはむしろ、和音や転調を複雑に感じさせるよう作っていると言えます。私はこのやり方がカービィの音楽に、みなさんがどこからも手に入れられないある種の趣を与えるものであると考えています。

 さらに、ゲーム音楽は基本的にゲームを遊んでいる間繰り返されています。ですのでプレイヤーにとっては、単純すぎると飽きてしまいます。ゲーム音楽にとって、把握しやすいというよりは複雑であることが大事だと思います。

喜び、冒険、無邪気さ、いたずらやユーモアを生み出す音楽の作り方

(質問)カービィのサウンドトラックを聴くと、喜び、冒険、無邪気さ、いたずらやユーモアも聞こえてきます。これらの印象や感性を生み出す音楽の作り方を説明、解説していただけませんか?

 個人的に、私は感情的に音楽を作曲しません。強く、明確な感情は確かに、曲に与える膨大な考えがなくとも、音楽としてできあがっていきます。そうではなく、私がやっているのは、ゲームの外観や雰囲気を感じ取ることです。そうすることで概念的にどのような種類の音楽が適しているか、大まかな考えを形成できます。そして、作曲をする際にその概念のエネルギーを引き出すようにします。

 私がカービィの音楽を作曲しようとしている時、強い感情要素よりもむしろ、人々が気付かない傾向がある音の調子やテクスチャーの細部に注力します。言葉にするのは難しいですが、繊細でありながらもユニークなアイデアを強調しようとしています。

 それどころか、私は小さなことをより多く表現することがゲームの世界を現実っぽく感じさせ、自然と人々がより感情に注ぎ込まれると思います。

 さらに、私が個人的に調整した概念の細かな部分に基づいて音楽を作曲することによって、作曲家としての私の独創性を反映する要素が、意図的か否かを別に自然と曲に組み込まれます。

影響を受けた(ゲーム)音楽家

(質問)どのようなゲーム音楽家があなたに最も音楽的に影響を与えましたか?ゲーム音楽家以外はどうですか?

 私が学生時代に遊んだ『ドラゴンクエストⅡ』でBGMを聴いたとき、ゲーム音楽を仕事にすることを考え始めました。あのような音楽がゲームに含まれることに衝撃を受け、そこから可能性の感覚というものを頂きました。

 それ以前に他のゲームをいくつか遊んでBGMを聴いていましたが、ゲーム音楽の制作を人生の残りの部分で取り組むべきだと考えるようになったのは、このゲームとそのサウンドトラックに出会ってからでした。そういう意味では、私はドラゴンクエストの音楽を制作するすぎやまこういちさんがいなければ、こうしていません。

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カービィの遊び仲間達


 通常、私はあまりゲーム音楽を聴きません。何故ならそれらを聴かないと比較的狭い分野のゲーム音楽ではユニークになることができるからです。ですので、本当に影響されたゲーム音楽家やサウンドトラックは全くありません。

 誰かをあげなければならないとするならば、自分以外なら最もよく聴く、同僚の石川淳による音楽をあげます。彼の音楽は私にたくさんの影響を与えますが、私が石川の曲を概念的にエミュレートする方向ではなく、むしろ私はそこから(TC:fromを訳に入れましたが、これだけで「石川淳を原点とする一つの枝、安藤浩和」という解釈が強く出てきます。「石川淳と安藤浩和の双頭」は成り立ちません。)分岐する方向であるべきと見なせる点で、補完的な関係ともいえます。基本的に、彼が単純で直接的な音楽を追究するならば、私達(TC:weで安藤氏以外の誰を指すのか、分かりませんでした。)は複雑であいまいな音楽を必要とすると思います。そして彼が調性の質と音色に注力するならば、私は楽譜と構造で創造的になりたいです。

 私は両方のやり方に好ましく、興味深い側面があると思います。異なる道を辿ることが私達の個性を引き出すものであり、双方がそれぞれ最も強い分野で作曲できますので、仕事の質も高めます。

 ゲーム音楽以外では、若い頃に坂本龍一のを聴くことを楽しんでいました。それがエレクトロニックミュージックと複雑なコードを評価することを学んだ場所です。また、クラシック音楽、特にクロード・ドビュッシーのピアノ作品も聴いていましたので彼の和音や音楽の他の側面が私に影響を与えたと確信しています。

仕事以外で聴く音楽

(質問)仕事以外ではどんな音楽を聴きますが?私達にとって驚くかも知れない何かに耳を傾けますか?

 仕事以外でも過去に作った曲をよく聴きます。一般的な音楽では、映画のサウンドトラックや管楽器を使った音楽をよく聴きます。ジャズ、フュージョン、テクノも聴きますが熱心なファンではないです。

 好きなアーティストですと、映画音楽で最も有名なジョン・ウィリアムズ、クラシック音楽のドビュッシーやモーリス・ラヴェルのようなフランスの作曲家、そしてベートーベンの交響曲が好きです。ジャズとフュージョンでは、ハービー・ハンコック、ゲイリー・バートン、エグベルト・ジスモンチに耳を傾けます。

 また、ジャズピアニストの小曽根真や塩谷哲にも心からの敬意を表します。私は実際には演奏家ではありませんので、私が作成した音楽で再生されるピアノパートの殆どはプログラムです。ですから、速いテンポで複雑なメロディーをリアルタイムで演奏できるジャズピアニストには本当に驚かされます。

ハル研究所入社に至るまで

(質問)ハル研究所で働き始める前は、音楽では何をされていました?そしてどのような経緯でハル研究所で働き始めました?

 私は幼い頃から学校外で音楽の授業を受け始め、そこで音楽の基本を学びました。在学中にはバンド活動に参加し、管楽器を弾き始めました。さらにトランペット、コントラバス、エレクトリックベース、ピアノ、そして鍵盤で演奏しました。

 私は理学部で物理学を専攻するために大学に進学しましたので、音楽の道を辿るつもりはありませんでした。しばらくの間、音楽から完全に身を退いていました。

 しかし、私がコンピュータを購入してプログラムで遊んだのは、大学に通っていた時のことでもありました。すぐに自分のコンピュータでのゲーム制作に興味を持ち、ビデオゲーム会社に入社することを考え始めました。

 それでも、私はプログラミング中心の教育を積んでおらず、プログラマーになりたいとは思っていませんでした。

 先程述べたように、私がドラゴンクエストⅡを遊んだのがちょうどこの時でした。その音楽によって吹き飛ばされ、それから音楽を演奏するプログラムを作成し、それをハル研究所に送り、そうして彼らに音楽の仕事で雇われました。

普段の仕事について

(質問)ハル研究所の作曲家としての、通常の営業日はどのような感じか教えて頂けますか?

 多くの作品を、大規模なグループの一員としてではなく、単独で完成させることができますので、自分の時間をどのように使うかに関してはある程度自由があります。

 私は究極の朝型でありますから、午後10時に眠り、午前3時に起床したら仕事に直行します。この時間は静かですので、集中するのに助かりますし、手間もかかりません。

 散歩に出かけるのも好きなので、午後に少し出かけることも時々あります。そんな時に、作曲や編曲のアイデアを思いつくこともありますが、歩いている時などに思いついたフレーズを書き留める習慣はありません。

 ほとんどの場合、私はオフィスのサウンドスタジオのキーボードで演奏しながら実際の音楽を思いつきます。

最も誇りに思っているカービィの音楽

(質問)あなたのカービィの音楽で最も誇りに思っているものは何ですか?その理由もお願いします。

最初に頭に浮かぶのは、ニンテンドー3DSソフト『星のカービィ ロボボプラネット』の「メモリーズ:あなたとの思い出は忘れない」です。それが私がとても誇りに思う作品ですね。
この曲の転調はとても面白いですが、音楽的には本当に奇妙な曲です。どのようにしてこのような曲を思いついたのか、それを完全に説明することさえできません。

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ペイトン・リスト、スペンサー・リスト、そして「おともだち」

個人的には、私の頭の中で何が起こっているのか不思議に思うような曲を書くことができてうれしいです。この曲は間違いなく、何故それを思いついたのか、私にさえ驚かせたものです。

そして、実を言うと、この曲は完全に私から生まれたものではありませんでした。使用しているツールの機能から拾った幾何かの考えが含まれているからで、曲の構成に入った要素のいくつかは偶然の産物です。その意味で、この曲は私自身の能力を超えています。

 別の言い方をすれば、自分が知っている音楽理論を適用することで曲の完全な作曲はしませんでした。

 結果的には、誰も、今の自分にさえこの曲を作れないというのは魅力的(TC:fairは公正ではなく、魅力的と訳しました。)だと思います。将来にそれ以上のものを書くことができるかどうかさえ確信も持てません。

 使った音の種類からこの曲を見ても、私が愛するファミコンやピアノの音をたくさん詰め込むことができて本当に嬉しいです。

石川淳の音楽で一番好きな曲

(質問)同僚の石川淳さんによる、カービィの曲で一番好きなものは何ですか?その理由もお願いします。

ニンテンドー3DSソフト『星のカービィ トリプルデラックス』のロイヤルロード・ステージ5で流れる「美の監獄」は、カービィが囚われた天空の民を救わなければならない場面に対して素晴らしい伴奏だと思います。

このステージに続くカットシーンは、彼の曲の一部を使って作曲した点を特徴としています。彼の曲を分析していた時に目立ったのは、不規則な時間と和音の平行移動でした。転調はかなり穏やかであり、かなり均一に感じましたが際限なく聴くことができるようになっており、とても興味深い雰囲気を持っていました。非常に洗練された曲です。

他の誰もが、このような独創性に溢れんばかりの曲を作曲できるとは信じがたいです。カービィのゲームで私の曲がそんなユニークな曲の隣に登場することに、うれしくてたまりません!(TC:overjoyedを"感情的"に訳しました。)

任天堂の音楽について

(質問)カービィシリーズの仕事に加えて、あなたは『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズで作曲・編曲を行いました。このような有名な任天堂の音楽史を編曲することにどう思われますか?そして、任天堂の音楽についてどんな所を好んでいますか?

『スーパーマリオ』シリーズや『ゼルダの伝説』シリーズのような有名で、偉大な音楽を基にした編曲をすることは大変に名誉なことです。これらの曲をアレンジした時はとても緊張していたことも覚えています。

任天堂の音楽は親近感があり、それでいて他のどこにも見られない魅力的なシンプルさと好ましさを持っています。それは音楽だけでなく、任天堂のゲーム全般にも当てはまります。狭いターゲットに絞るのではなく、幅広いユーザーを念頭に置いていることが素晴らしいと思います。

世間一般の通念では、出来る限り明確で狭いターゲットを設定すると作品を生み出しやすくなりますが、任天堂は、世界的なヒットとなる作品を世に送り出すために、意図的に視野を広げています。私はいつも任天堂の皆さんの素晴らしい能力と情熱に感心しています。