今回は『さよなら!ハコボーイ!』スタッフリストと、その分析について行います。
さよなら!ハコボーイ!(3DS、2017年2月2日)スタッフリスト
・ディレクター
向江 康博
・リードレベルデザイン
渡辺 豊
・レベルデザイン
鯉沼 拓
・リードプログラム
河原 孝章
・プログラム
川路 慎一
山下 晃弘
八坂 俊
・リードグラフィックデザイン
大田 裕介
・グラフィックデザイン
林 明子
佐久間 健
伊藤 晴香
・リードサウンド
石川 淳
・サウンド
安藤 浩和
・チームサポート
高橋 芳美
橋口 茂
平山 茂
乙黒 誠二
・パブリックリレーションズ
石田 聡
峰村 智大
・アートワーク
仲上 雅代
川原 理恵子
莿木 勇斗
杉山 靖子
・マニュアルエディション
朴 鍾薫
・テスティング
鈴木 太
小林 勝
松本 学
牛島 雄一郎
光村 強
ハルデバッグチーム
マリオクラブ
・テクニカルサポート
田上 達宏
皆川 健
菅野 卓行
鶴岡 友和
渡邊 慎也
後野 遼一郞
西村 悠樹
中野 宏晃
田島 章
安部 拓也
野下 徹也
村瀬 達哉
木村 宗理
谷藤 圭太
加藤 歩
吉田 悟
安原 由貴
末継 和也
岩本 光生
佃 和樹
・ハコまんが
中村 和幸
・ハコまんが - 原案
遠藤 裕貴
大田 裕介
大西 洋
吉川 仁志
熊崎 信也
佐久間 健一
佐藤 悦子
佐藤 真美子
西村 悠樹
林 明子
向江 康博
渡辺 豊
・スペシャルサンクス
小野 早央里
山本 正宣
・プロジェクトマネージメント
中村 和幸
呉服 和幸
・アシスタントプロデューサー
高橋 功
上武 理志
・プロデューサー
三津原 敏
寺崎 啓祐
・ゼネラルプロデューサー
谷村 正仁
高橋 伸也
・エグゼクティブプロデューサー
君島 達己
制作・著作 株式会社ハル研究所/任天堂株式会社
©2017 HAL Laboratory, Inc./ Nintendo
分析
全体、つまり構成人員を見ると、ハルデバッグチーム、マリオクラブを除き、複数の役を務める人による重複を無くすと合計66人によって開発されたことが分かります。その内の20人がテクニカルサポートというプログラマー偏重の開発体制です。この異常なテクニカルサポートの陣容については恐らくですが、週刊ファミ通におけるインタビュー記事の以下の記述が原因だと思われます。
河原 プログラム的には、ハコボムで地形が変わってしまうのが大変でした(苦笑)。
向江 ステージの地形は黒で塗りつぶされているのですが、角が丸くなっていたり、細かく装飾されているんです。ハコボムでガンガン削られると、地形の装飾の整合性を取るのが難しくなるんですよね。
河原 ですので、内部的には地形のデータも全部作り直しました。
出典:週刊ファミ通2017年2月16日号『特別企画 開発ボーイにインタビュー!』P108
地形のデータを使い回せず、実質的には1からの再スタートとなればプログラムも1からとなるでしょうし、そうなるとプログラマーが多数配置されていたのには説明が付きます。
開発の中核を担ったのは、この『さよなら!ハコボーイ!』のスタッフリストと、過去二作の『ハコボーイ!』『ハコボーイ!もうひとハコ』のものを一緒に見てみると、ディレクターの向江 康博、デザイナーの大田 裕介、プログラマーの河原 孝章、プロジェクトマネージメントの中村 和幸の4名だと言えます。プロジェクトマネージメントについてはかつて熊崎 信也と組んでいる阿部 哲也について考察したように、重要な役割を担っていると言えるため、中核に含みました。なお、同じプロジェクトマネージメントに属する呉服 和幸は任天堂の社員であるため比較的役目が小さいと判断し、対象外としました。
また、スタッフリストの詳細を見ると『星のカービィ ロボボプラネット』ではレベルデザインを務めた渡辺 豊が今作ではリードとなり、2016年入社の鯉沼 拓がその下に付くなど開発陣の世代交代が順調に進められていることが分かります。
そして、最も重要な点としてこのスタッフリストには役職によって、関係者を並べる順番の基準が変わるという点があります。テクニカルサポートとハコまんが - 原案の2つを比べてみましょう。
テクニカルサポートは4番目の2000年入社の鶴岡友和から、順番に入社年について見てみるとこのようになります。
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鶴岡 友和(2000)
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渡邊 慎也(2005)
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後野 遼一郞(2005)
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西村 悠樹(2005)
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中野 宏晃(2006)
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田島 章(2008)
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安部 拓也(2008)
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野下 徹也(不明)
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村瀬 達哉(2008)
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木村 宗理(2009)
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谷藤 圭太(2010)
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加藤 歩(2012)
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吉田 悟(2012)
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安原 由貴(2013)
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末継 和也(2013)
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岩本 光生(不明)
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佃 和樹(不明)
野下 徹也と岩本 光生、佃 和樹の入社年が不明ですがこれを元に順番を見てみると、年功序列に沿って作られたことが分かります。テクニカルサポートは担当作品に一時的に関与するプログラマーに与えられる職種であるため、関与した作業の大きさでは判断しづらいためこのような形で並んでいると考えられます。
次にハコまんが - 原案を見るとこのような順となります
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「え」遠藤 裕貴(2006)
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「おおた」大田 裕介(2007)
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「おおに」大西 洋(2008)
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「き」吉川 仁志(不明)
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「く」熊崎 信也(2002)
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「さく」佐久間 健一(2012)
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「さとう え」佐藤 悦子(2013)
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「さとう ま」佐藤 真美子(2014)
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「に」西村 悠樹(2005)
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「は」林 明子(不明)
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「む」向江 康博(2004)
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「わ」渡辺 豊(2009)
勿体ぶるのも面倒なので先に言いますと、こちらは年功序列ではなく五十音順で並んでいます。何故このような形を採用したのかは不明ですが、この2つの順番は「同じ作品のスタッフリストであっても、全ての職種が統一された基準で関係者が並んでいるとは限らない」ということを意味していると言えます。ハル研究所はこれからも作品を生み出すでしょうし、作品の発売と同時に開発者の名が並んだリストが世に出回ると思いますが、それらに出てくる職種の並びを同じ基準で調べるのは大きな落とし穴に嵌まる近道だと判断できます。どのようなことであっても、安易な分析は悪手なのです。