今回はこちらの動画で紹介された、『Mount & Blade Ⅱ: Bannerlord』の攻城戦についての分析を行いたいと思います。
この動画を見た後の簡単な感想
『Mount & Blade』とそのスタンドアローンの拡張版『Mount & Blade: Warband』、『Mount & Blade: With Fire and Sword』、『Warband』の拡張版である『Mount & Blade: Napoleonic Wars』、『Mount & Blade: Viking Conquest Reforged Edition』のどれかを遊んだ方ならご存知かと思いますが、このゲームシリーズの攻城戦の出来は非常に悪い物でした。端的に言えば「狭い梯子をアホみたいに駆け上がる」、もしくは「弓兵に城壁の敵兵を撃たせまくって、矢が切れたら撤退。再度攻撃」という方法しかありませんでした。持久戦は元々城や街に存在する食糧が多すぎて(それぞれ30日、100日分)殆ど機能しておらず、この単純な力の押し引きを繰り返すしかありませんでした。
ですが、次回作に当たる『Bannerlord』では攻城兵器の実装によって、MODを駆使しても単調な戦闘でしかなかった攻城戦が面白くなりました。また、後に紹介しますが兵の配置も機能するようになり、指揮する楽しさも単純に増えています。
兵の配置
まず『Bannerlord』では戦闘前に立体視点での兵の配置が可能になっています。他の作品であげるなら『Total War』シリーズのものを想像すれば良いと思います。
やり方としては他の『Mount & Blade』シリーズのように部隊選択→対応する命令を選択→命令発動、兵が動くという手順かと思われます。左の命令はそれぞれ
- 移動
- 向き
- 間隔
- 幅(3の間隔と混同しやすいので、「陣形」の方が良い?)
- 歩調
- 射撃
- 騎乗
- 指揮権
- 部隊移動
となっており、だいぶ細かく命令ができるようになっています。特に注目すべきなのは9の部隊移動で、恐らくこれを利用するとauto deployで出来たような「既存の部隊の分割」が出来るのだと思います。
少し暗いのはすぐに場面が切り替わるため。
ここでは左翼に42人の歩兵隊、右翼に49人の歩兵隊、中央に53騎の下馬騎兵隊、4つの大小の塔に9名から10名の弓兵隊が配置されています。auto deployでここまで城の特性に最適化された配置が出来ていますので精度はかなり高いと言って良いでしょう。*1
両軍の状況
城攻めの最中と終わりに、両軍の状況を表した画面が出ています。その画面から分かることを見ていきましょう。
城攻め最中の一覧。
城攻めの終わりのものです。
両軍に属する兵士は兵種で分けられ、それぞれ頭蓋骨、割れた盾、旗、剣と盾を持つ兵士、剣、二重三角の記号で状態を理解できるようになっています。頭蓋骨は死亡、割れた盾は負傷、旗は敗走、兵士は戦闘可能兵士、剣は戦果を表していると思われます。二重三角は今のところ不明です。*2
また、兵種の名前からも分かるように「Imperial」、「Battanian」と『Warband』のカルラディアには存在しなかった国家が登場しています。恐らくモデルとなっているのは「Imperial」はカタフラクト*3、軍団兵*4から察するに東ローマ帝国、「Battanian」は長弓兵*5、ヨーマン長弓兵*6から早くてもウェールズ征服後のイングランド王国だと思われます。
飛び道具が強い
先ほどの一覧を見ると、当たり前ですが重要な事実に気づくことになります。それは「飛び道具が戦果・損害の大半を占める」ということです。帝国、バタニア双方の軍の戦果を兵種別でグラフにするとこのことが理解できます。その前に、グラフにおける兵種を簡単に和訳してしまったのでその対応表を置いておきます。ちなみに「Eithne」はプレイヤーキャラです。
まずは帝国側から。
順位としては、20%の帝国弓兵、17%の帝国散兵、12%の帝国守衛弩兵と続き、飛び道具を持った兵種によって彩られます。ただ、攻城戦の攻撃側だったせいか309名の軍勢で攻めたにもかかわらず合計で139名の戦果しか出せなかったので、活躍したと言っても顕著ではありません。
逆にバタニア側はバタニアヨーマン長弓兵、バタニア長弓兵、バタニア射手の合計38名の弓兵隊と彼らの操作する兵器だけで、合計戦果の57%を弾き出しています。弓兵隊が塔の兵器の操作を任されたことから、単純に「弓のおかげ」とは言えませんが、どちらにしても飛び道具が戦場を支配したことは確実でしょう。E3で出展された、攻城戦の攻撃側にフォーカスした動画では小さなカタパルトで225のダメージを与えていましたので当たれば上級兵でも一撃です。
1:20のログに注目。
このバランスが製品版でそのまま実装されるかは不明ですが、『Mount & Blade』シリーズの経験者はこの兵器と"上手く"付き合っていく必要があると思います。