出典:Miiverse - イシダ's post | Nintendo
8月9日、第1回「星のカービィ ロボボプラネット大質問会!回答編」が開催されました。回答はゲーム制作に絞られており、分析する材料として多大なる収穫を得ることができました。今回はこの回答の
より少ない開発期間とスタッフで、前作の要素を活かしつつも既視感の無いものにしてほしい、というのがプロデューサーからのオーダーで、やりがいを感じつつも、とても大変な開発でした。
前作のシステムを活かすと遊びの部分が似てしまいますし、またカービィらしさと斬新さの両立にも苦労しました。
改善できる点や、やり残したことはいつも当然にようにあって、それを次回へのモチベーションにしています。きっと、これは永遠に無くならないでしょう。
"より少ない開発期間とスタッフ"が何を意味するのか、調べていきたいと思います。
開発期間
開発期間については詳しい数字が別のコメントで語られています。
『星のカービィ トリプルデラックス』から2作続けて同じハードでの開発になるので、今回は世界観を一新することを意識しました。
同時に新たなユーザーを開拓したいとも思い、前作の「温かみのある空と植物」というテーマに対して真逆のイメージの「キカイの世界」を考えました。
そして、「キカイの世界」ならではの新たなコピー能力アクションとして、ロボボアーマーを発案しました。
開発は『デデデ大王のデデデでデンZ』などのタイトルと平行しつつ、2年以内に完成させました。
2年以内ということは、単純に考えると2014年4月28日から2016年4月28日の間となります。と言っても発売と納期の間にはタイムラグが有りますので実際の開発期間はこれより短くなります。いくら『星のカービィ トリプルデラックス』の要素を流用できると言っても世界観は一新されていますし、新たなコピー能力の実装や調整も必要ですので、デザイナー・プログラマー双方に負担がかかるこのプロジェクトを2年以内で終わらせるのは非常に難しいことです。
スタッフ
今回のメインとなる部分です。熊崎は今作に関わったスタッフを"より少ない"と形容していました。ですが、単純にスタッフの"数"で『星のカービィ トリプルデラックス』と比較すると成り立ちません。
数の比較
検証は『星のカービィ トリプルデラックス』と『星のカービィ ロボボプラネット』のスタッフリストからスペシャルサンクス、スーパーバイザー、マネージングディレクター、プロジェクトマネージメント、コ・プロデューサー、プロデューサー、ゼネラルプロデューサー、エグゼクティブプロデューサー、株式会社D・A・G(社員はカウント)、ハルデバッグチーム、マリオクラブを抜いた全スタッフを数え、それを比較するという単純なものです。
結果は
- 『星のカービィ トリプルデラックス』…73名
- 『星のカービィ ロボボプラネット』…91名
と熊崎が"より少ない"と言ったはずの作品の方が多いという矛盾が起こりました。では一体何が"より少ない"のか、疑問に思いましたが筆者はある1つの説を立ててみました。「質の低下を"より少ない"で表現しているのではないか」と。
質の比較
ハル研究所におけるゲーム開発で中心となるのはディレクター、プログラムディレクター、デザインディレクターです。『星のカービィ ロボボプラネット』のスタッフリストにおける各部門のリーダー、つまりプログラムディレクターとデザインディレクターは『星のカービィWii』、『星のカービィ トリプルデラックス』と続けて担当してきた中野 宏晃、上武 理志ではなく、永田 善裕、松浦 萌奈美でした。筆者は情報が出るまでは「人材を育てるために敢えて変えたのだろう」という積極的変更の方を採用してました。ですが、今回の記事を書くにあたって「王道カービィの中心に携わってきた2名を現場に出せなかったため、リードとして関わってきた人を昇格させて中心とした」という消極的変更ではないかと考えました。
また、プログラムやデザインの最初に載る人達も『星のカービィ トリプルデラックス』では2008年入社の田島 章、2009年入社の菅野 晃宏でしたが、本作では2012年入社の末継 和也、2013年入社の佐藤 悦子と比較的若いスタッフが前半にいます。スタッフリストの担当の順序が、プロジェクトの関わりの度合いに関係があるという直接的な証拠は存在しませんが、後半の人が平田 雄大、田島 洸城、佐久間 健一、鈴木 輝彦など『タッチ!カービィ スーパーレインボー』でプログラムやデザインに関わっており、プロジェクト前半では物理的に参加不能な人で占められていることから、消去法的に前半の人達はメインに活動してたであろうと考えられます。
この2つの分析を踏まえると、各部門のリーダーは入れ替え、プロジェクト初期にいた人達も比較的若いというなかなか厳しい状態だったことが分かります。『星のカービィ ロボボプラネット』はゲームとしては高評価を得ることができましたが、開発環境は決して恵まれたものではなかったと結論付けられます。