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— カービィ版深夜の真剣考察60分一本勝負 (@kirby_1es) July 23, 2016
これはカービィ版深夜の真剣考察60分一本勝負の記事となります。
今回は自由テーマを選択し、「戦艦ハルバードが与えた影響」についてやります。
この記事は2016/07/23 21:59に書き始め、22:52に書き終えました。尚、今回は準備不足のため、画像が一枚もありません。
戦艦ハルバードとは
『SDX』のモードの1つ、「メタナイトの逆襲」では戦艦ハルバードが登場し、制限時間内にステージをクリアしてメタナイトの野望を止めるため、この戦艦を破壊することになる。このモードはストーリーから見ても『初代』や『夢の泉』とは比較にならないほどの独特さがあるが、それについては今回は置いておき、まずはキーアイテムの特徴について話したい。
戦艦ハルバードは『SDX』での初登場から"兵器"の色を大きく見せていた。プレイ中やムービーでも動かない(『USDX』ではムービーで利用された)幾多の対空砲と、二連主砲、そして格納庫にヘビーロブスターを保有するというスペックは明らかに兵器を想定している。このようなアイテムは前作に当たる『夢の泉』には存在しなかった。
ファンタジーの色が強い『夢の泉』
『初代』の最初の続編となったのは『夢の泉』だ。ここではファンタジーとしての色彩が色濃く見られる。夢の泉という神秘的な構造物もそうだが、ラスボスであるナイトメアを倒すために使われるのはスターロッドだ。UIでこのコピー能力を表す一枚絵には魔法使いがよく被る帽子を身に着けたカービィが使われていることからも分かる通り、幻想的なキーアイテムである。どちらもディレクターが同じ桜井政博であることを鑑みると、かなり大胆な変化でもある。ただ、注意したいのは『カービィシリーズ』がそのようなファンタジーとしての側面を最初から想定されていた訳ではないということである。
『初代』はファンタジーとは言えない
『カービィシリーズ』の最初の作品である、『初代』はファンタジーだったかと言われると筆者はそう思わない。理由として出すのは2つの要素だ。
1つめは、カブーラーというキャラだ。この飛行船は下部に搭載された大砲から弾を発射したり、体当たりを行うことでカービィを邪魔するボスキャラである。ファンタジーという想定でこのようなキャラを生み出すのは少々難しいのではないかというのが筆者の考えだが、銃火器を想定したファンタジーの場合、この理論は通用しない。
そこで重要となるのが2つめの、『ティンクル★ポポ』時代のボスキャラの名前だ。
カービィwikiの「ウィスピーウッズ」の項目にはこのようなことが書かれている。
「ティンクル★ポポ」時代の広告には、名前が「バスターウドォ」と書かれている。
また、カブーラーも
『ティンクル★ポポ』の広告には「ダムダムブルグ」という名前で紹介されている。
かつての名前が判明している。「バスターウドォ」のウドォはウッドから取ったと考えられるが、バスターは英語で「退治する者」、「逮捕する者」という意味を持つ単語でもある。
「ダムダムブルグ」の場合、ダムダムは小銃弾の一種であるダムダム弾*1から、ブルグはドイツ語で「城」を意味するブルグから取られたと思われる。
このような要素、特に2番目のものを鑑みると『初代』はファンタジーとしての色合いを持っていたとは考えにくい。そもそもな話、『カービィシリーズ』としての世界観が以上の3作品ではまるで違うというのが理解できるだろう。
"なんでもあり"に至るまで
『カービィシリーズ』はよく"なんでもあり"という特徴を持っているとしてファンや開発者に言われるが、そのような特徴を持たせるには当然下積みが必要である。
『夢の泉』と『SDX』でゲームのアイデアを出し、ディレクションを担当したのは桜井政博だが、彼はこちらの記事の8番でも分析した通り、続編をあまり考慮していない。
むしろ"ゲームが面白くするためには変化を加える事が大事だ"というのが彼の考えである。だからこそ世界観の統一は最初から想定する気がないのかも知れない(事実、彼の著書8冊において世界観の、特にカービィシリーズに関するそれについてのコラムは1本もない)。ゲームを面白くするために、大砲を付けた飛行船を、神秘的なアイテムを、大量の兵器を搭載した戦艦を出す。それで世界観が"変になっても"ゲームが面白ければ問題はないというのが彼の考え方である、と結論付けるのはそこまでおかしいことではないだろう。
結果として、『カービィシリーズ』は"なんでもあり"となった。何が出ても"カービィらしい"と言われるようになったのはディレクターの価値観と、多様なキーアイテムの実装にある。戦艦ハルバードもその一構成員として投入され、意図的か否かは兎も角カービィを"なんでもあり”にさせるような影響を及ぼしたと言えるであろう。
以上。
*1:小銃弾の一種。命中すると弾体が破裂してつきささり,傷口が大きくなる。非人道的であるとして,1907年第二回ハーグ平和会議で使用を禁止された。