Papen's Piling

主にコンシューマーゲーム会社を調べる所

【考察】ゼノブレ2→ゼノブレ3におけるモノリスソフト開発体制の変化

新年あけましておめでとうございます。今年ものんびりとやっていきます。

さて、今回は『ゼノブレ2』から『ゼノブレ3』への変化を主軸にお話ししていきます。
2017年に『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』『ゼノブレ2』を出し一躍有名になったモノリスソフトが、『ゼノブレ3』『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』に関わる、いわば2週目に入りましたのでここで制作体制がどうなっているのか見ていきます。

先に申し上げますが、パートナー企業については特に言及しません。正直な所『ゼノブレ2』から大きな変化がないからです。こちらの『ゼノブレ2』のページをベースにしたままで問題ないとは思います。
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<忙しい人向けまとめ>

  • 2017年は150人程だったモノリスソフトは、2021年12月時点で273名を抱える企業に。
  • 各職種の人数がおおよそ判明。プログラマーは42名、プランナーは48名、アーティストは143名。開発その他は21名。
  • プランナーはField Plannerが『ゼノブレ2』から4倍に増加。
  • 新たなプランナーの多くはMobyGamesにも情報がなく、若手の可能性大。
  • プログラマーは任天堂への依存を大きく減らし、モノリスソフトで24名+任天堂からの応援5名と自社中心で回している。
  • アーティストは大きな変動はないが、UI Art Designerの新設やScript Eventの整備など強化している部分も見える。
  • 開発その他はテクニカルアーティスト。第二プロダクションとして位置づけられ、半数が『ゼノブレ3』に参加。
  • 各職種の人数と『ゼノブレ3』参加者を比較すると、プログラマーは59%、プランナーは64%、アーティストは40%、開発その他は47%。これらを踏まえると新作の開発はある程度進んでいる可能性あり?

<追記>
データで見るモノリスソフトが更新され2022年12月時点のデータとなりましたが、本記事は2021年12月のデータのままとします。特に結論が変わらないためです。ただ、参考として画像は載せておきます。2021年12月~2022年12月の変化については後に記事にします。

モノリスソフト(2022年12月)
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【考察】『スカーレット・バイオレット』のスタッフを見てみよう

今回は2022年11月18日に発売された『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、『SV』と呼称)のスタッフリストを見ていきます。本作については様々な視点から既に語られていますが、開発体制についての言及は少ないです。スタッフリストから何が分かるのか、見ていきましょう。

<忙しい人向けまとめ>

  • 重複含めてカウントすると1040名、ゲームデザイン、プログラミング、アートの合計で702名。これは世界でもあまり見ない規模
  • ゲームデザイン、プログラミング、アートの40%程のスタッフは『アルセウス』にも参加。ディレクターは68%、リードは80%が参加しており、『アルセウス』との並行開発説が非常に濃厚。
  • 『SV』の安定性は『アルセウス』と『SV』という全く違う作品を並行開発する負担が原因?
  • プログラミングの体制が『アルセウス』と比べやや煩雑に感じる
  • UIセクションの誕生
  • 協力会社は44社。特定の分野のみ関与する企業、幅広く携わる企業と多様。
  • ディレクターにはSIEジャパンスタジオの元スタッフやバンナム社員も参加。これまでの履歴が確認できないリードもいる(→関係会社からの採用?)
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【考察】『ゼノブレイドDE』のスタッフを見てみよう

2020年に発売された『ゼノブレイド Definitive Edition』のスタッフリストを見ていきます。『ゼノブレイド3』がmoby gamesでまとめられる前にゼノブレイドシリーズがどうだったか復習しておきたいため作成しました。

<忙しい人向けまとめ>

  • ゲームデザイン、プログラミング、アート合計で145名『ゼノブレイド』シリーズでは過去最少の規模
  • ゲームデザインは10名中『ゼノブレイドクロス』経験者が4名、過去作不明の方が3名。
  • プログラミングは18名中『ゼノブレイドクロス』経験者が9名、過去作不明の方が3名。
  • アートは全体で117名。Graphics、Graphics Support、Cutscenes、Motion Captureの4セクション。
  • Graphicsは41名中『ゼノブレイド2』経験者が25名、過去作不明の方が3名。
  • Graphics Supportは26名中、『ゼノブレイド2』経験者が10名
  • Cutscenesは42名中、『ゼノブレイド2』経験者が20名。『ゼノブレイド』経験者も13名いる。
  • Motion Captureは9名中、『黄金の国イーラ』経験者が5名
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【考察】『ブレスオブザワイルド』のスタッフを見てみよう

Nintendo Direct 2022.09.14で『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』(以下、ブレスオブザワイルド)の続編『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』(以下、ティアーズオブザキングダム)がタイトル、発売日公開となりました。

私はゲーム作品の開発体制が知りたくてスタッフリストを日々眺めていますが、その『ブレスオブザワイルド』の開発体制がどうなっているか、踏み込んだ記事が出ないので自分で作りました。かつてモノリスソフトに絞った記事は書きましたが、今回はゲームデザイン、プログラミング、アート全体を見ていきます。

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<忙しい人向けまとめ>

  • 全員カウントすると888名。開発メンバーのみでも176名→347名と2倍増加。
  • ゲームデザインは『ゼノブレイドクロス』、『ニュースーパーマリオブラザーズ2』、『神々のトライフォース』と過去作が多様。後に数名が『オクトエキスパンション』に関わる。
  • プログラミングは『ニンテンドーランド』から多くが入る。また『マリオカート8』のProgramming Supportに15名が参加。62名中9名、15%は過去作不明。
  • アートは部門によって様相が異なる。
  • シニア・リードは『スカイウォードソード』経験者が16名中8名、50%。後に『ゼルダ無双 厄災の黙示録』に6名が参加。
  • シネマやプロダクションアートを除くアート83名を見ると、『ゼノブレイドクロス』に59名、『スカイウォードソード』に41名が参加
  • プロダクションアートは21名中10名、47%が過去作不明。SEVENS DREAMSなど協力会社が主に担当
  • モデリング・アニメーション121名中37名、31%が過去作不明。イマジカデジタルスケープが目立ち、彼らは後に『キングダムハーツⅢ』に携わる。
  • シネマ部門は殆どグラフィニカが担当。『ゼノブレイドクロス』が過去作、『ゼノブレイド2』にも携わった方が多い。
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【考察】「スプラトゥーン3」のスタッフを見てみよう

2022年09月09日に発売されました『スプラトゥーン3』はE3 2014年初報から始まった『スプラトゥーン』シリーズ最新作として着実な広がりを見せています。発売後ある程度情報も出ましたので、スタッフについて全体に見る記事を作りました。
(ゼノブレイド3はもう少々お待ちください。10月中に投稿致します)

<まとめ>

  • 『スプラトゥーン3』の開発規模は過去作と比べ2倍に増加。
  • ゲームデザインは過去作不明の方が多数リストアップ。『スプラトゥーン2』のゲームデザイン担当16名中5名は続投。
  • サウンドは過去作が分かっている人が殆ど。元SIEジャパンスタジオの方も参加。
  • プログラミングは『スプラトゥーン2』経験者はほぼそのまま続投。過去作は任天堂系タイトルで占められる。
  • アートはバンダイナムコスタジオ、Lemon Sky Studios、デジタル・メディア・ラボ、アグニ・フレア、アプリボットの参加もあり、過去作が非常に多様。経験者が多かった作品1位は『あつまれ どうぶつの森』、次が『エースコンバット7』。
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